毎日、通勤や通学などで履いている革靴にはどうしても湿気がこもりやすいものです。加えて、汗や皮脂など、カビのエサになりそうな汚れも多い革靴は、定期的にお手入れをしておかないとカビがはえてしまうことがあります。
そこで、今回は革靴のカビを取る方法についてご紹介します。スプレーを使うべきかどうか、カビがはえないための予防法も含めて詳しく見ていきましょう。
革靴のカビとりに掃除用のスプレーを使ってはいけないの?
革靴のカビ取りには、市販の「革靴用除菌スプレー」を使うのがもっとも効果的です。除菌スプレーやカビ取り剤なら他の場所に使っているものがある、と思ってしまいがちですが、革靴には必ず「革靴用」の除菌スプレーを使いましょう。他の場所に使うカビ取り剤や除菌スプレーには塩素系漂白剤や家庭用除菌スプレーなどがありますが、以下の理由から使ってはいけません。
- 塩素系漂白剤
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- 除菌も漂白もでき、カビの根本までしっかり除去できるが、代わりに革靴の寿命を縮めてしまう
- 革靴を傷めるだけでなく、色落ちの原因になってしまうため、革靴には向いていない
- 家庭用除菌スプレー
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- キッチン用除菌スプレーや、手に吹きかける除菌スプレーではカビの「根」が取り除けない
- 表面的なカビが取れてキレイになっても、「根」まで完全に除去できない
- カビの根を根絶できないと、結局またカビがはえてきてしまう
では、運動靴やサンダルのように、水で丸洗いするのはどうでしょうか。もちろんこれもNOです。革靴を水で濡らしてしまうと、カビを除去しようとしてやったつもりが、結果的にカビを増やしてしまいます。また、前述のように表面のカビは取れても、カビの「根」が根絶できないのは同じです。このような理由から、水洗いも革靴のカビに対しては効果が期待できません。
革靴の表面にはえたカビはもちろん、カビの根までしっかりと根絶するためには、革靴用の除菌スプレーを使ってしっかり殺菌するしかありません。必ず、専用の除菌スプレーを購入して使いましょう。
革靴のカビのとり方って?
では、革靴のカビを取る具体的な手順をご紹介します。
- 下準備
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- 乾いた布や歯ブラシを使い、表面にはえているカビを除去する
- 除去作業中は必ずマスクや手袋をし、換気しながら行うか、外で作業する
- カビが取れないときは少し強めに擦ってもいいが、決して水拭きはしない
- 使った布や歯ブラシにはカビの胞子が大量についているため、すぐにゴミ袋へ
- 革靴用除菌スプレーをかける
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- 除菌スプレーは革靴によっては色落ちする可能性があるため、必ず目立たない場所でテストしてから
- 色落ち確認が終わったら、カビのはえた場所に除菌スプレーをかけていく
- 大量にはえている場合、革靴全体が湿るくらいにたっぷり吹きかける
- 革靴を乾かす
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- カビにしっかりスプレーを染み込ませたら、革靴を完全に乾かす
- 風通しの良い日陰で陰干しをし、湿気が残らないよう半日〜1日かけてしっかり乾かす
- ※日当たりが良い場所で乾かすと、変色してしまう可能性があるため陰干しを
- クリームで保湿する
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- 革靴が完全に乾いたら、革靴用クリームで保湿する
- 洗顔後の肌と同じように、革靴もクリームでしっかり水分を補う必要がある
- やり方は通常のお手入れと同様に、塗り残しがないよう塗っていく
- 防水スプレーをふきかける
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- 最後に、革靴用の防水スプレーを吹きかける
- 革靴を雨や雪から守るだけでなく、再びカビがはえてこないように
- 除菌や消臭にも効果があるため、きちんとかける
下準備の際は、カビの胞子をできるだけ飛び散らせず、しかし水拭きはしないことがポイントです。そこで、換気をするか外で作業し、カビの胞子を取り込まないようにマスクや手袋をしましょう。さらに、使った後の布や歯ブラシはすぐに捨てられるよう、近くにゴミ袋を用意しながら作業しておくとカビの胞子が飛び散りません。
革靴にカビがはえないようにする対処法は?
上記のような手順でカビを除去したら、再びはえてこないようにしたいものです。そこで、以下のような対策を行いましょう。
- 下駄箱に除湿剤を入れておく
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- 下駄箱用の除湿剤は、設置するだけで湿気のほか、気になるニオイなども吸収してくれる
- 備長炭や活性炭などを使っているものが多く、香りや香りの有無は好みで選べる
- サイズもさまざまなので、下駄箱のサイズに合うものを選ぶ
- 狭い下駄箱ならコンパクトタイプや、棒状、L字型など。大きいならタンク型がおすすめ
- 下駄箱に除湿剤を起きたくないという場合はシートタイプも良い
- 下駄箱に重曹を入れておく
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- 重曹も除湿剤と同様、湿気のほか気になるニオイを吸収することもできる
- 空き瓶に入れてフタを開けておくか、麻やガーゼ、綿など通気性の良い素材でフタをする
- 重曹200gで約1〜2ヶ月程度効果があるので、時間が経ったら取り替える
- 湿気が多い梅雨などは重曹の表面が固まりやすいので、適度に表面の固まった部分を取り除いて補充するとよい
- 天然素材で食品にも使われるため、子どもやペットのいる家庭でも安心して使える
- 使用済みの重曹は、掃除にも再利用できて一石二鳥
- ※革靴のニオイをしっかりとりたいときは、重曹を半紙やティーバッグなどに入れて革靴の中に入れておく
- 靴の中に新聞紙を入れる
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- 新聞紙は湿気を吸収する効果が高いので、革靴のカビ対策に有効
- ただし、入れっぱなしにしておくとまたカビの原因になるので、こまめに取り替える
- 雨で革靴が濡れたときにも有効で、丸めた新聞紙を入れて風通しが良い場所で陰干しする
- 1日履いた靴は、一晩乾燥させてからしまう
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- 履いた靴をすぐに下駄箱にしまうと、下駄箱内にも湿気が増え、カビがはえやすくなってしまう
- 特に汗をかきやすい夏は足の汗の量も増えるため、履いた後の革靴はしばらく放置してからしまう
いずれの対策も湿気をこもらせず、いかに湿気を飛ばすかに重点を置いた除湿方法です。すべてを同時に行う必要はありませんが、できることから実践していきましょう。
おわりに:革靴のカビは革靴用の除菌スプレーでとろう
革靴は、水洗いしたり塩素系漂白剤を使ったりできません。また、家庭用の除菌スプレーでは、表面のカビだけしか取り除けません。ですから、革靴にカビがはえてしまった場合は革靴用の除菌スプレーを使いましょう。
また、カビを取り除いた後は、再発しないよう除湿対策をすることも重要です。除湿剤や重曹、新聞紙を入れて吸湿したり、履いた靴は一晩乾燥させて翌日は別の靴を履いていったり、などの対策を行いましょう。
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