近年、ダイエット食や健康食として注目を集めている「玄米」。「白米よりも栄養がある」という話もよく聞きますが、具体的に栄養面でどう優れているのでしょうか?なぜダイエットや健康効果が期待できるのでしょうか?
玄米と白米の違いは?
玄米も白米もお米の種類を表す言葉ですが、下記のような違いがあります。
- 玄米
- 収穫した稲から、もみがら(稲穂から離したばかりのイネの果実の外皮)だけを取り除いた状態の米。
- 白米
- 玄米を精米して「胚芽」「ぬか」を取り除き、「胚乳」だけの状態にした米。
簡単に違いをまとめると、「胚芽」「ぬか」が残っているのが玄米、「胚芽」「ぬか」が除去され「胚乳(発芽の際に胚の養分になる、種子の中の部分)」だけになっているのが白米です。そしてこの「胚芽」「ぬか」の有無こそが、玄米と白米の栄養素に大きく差をつけています。
「胚芽」とは植物の種子で、やがて成長して芽になる部分のことです。「ぬか」は玄米の表面を覆う外皮と胚芽の混合物で、玄米から精米する際に除去されます。
米の栄養素の中で、デンプンやタンパク質は「胚乳」部分に多く含まれていますが、ビタミンや食物繊維、脂質などは主に「胚芽」「ぬか」部分にあります。つまり精米すればするほど、これらの栄養素は失われやすくなるのです。
玄米と白米の栄養を比較!
では、玄米と白米はどれくらい栄養価が異なるのでしょうか。文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を元に、代表的な栄養素を比較し表化したものが以下です。
玄米 | 白米(うるち米) | |
---|---|---|
エネルギー | 165kcal | 168kcal |
タンパク質 | 2.8g | 2.5g |
脂質 | 1.0g | 0.3g |
炭水化物 | 35.6g | 37.1g |
水溶性食物繊維 | 0.2g | 0g |
不溶性食物繊維 | 1.2g | 0.3g |
カリウム | 95mg | 29mg |
カルシウム | 7mg | 3mg |
マグネシウム | 49mg | 7mg |
ビタミンB1 | 0.16mg | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | 0.01mg |
ビタミンB6 | 0.21mg | 0.02mg |
ナイアシン | 2.9mg | 0.2mg |
葉酸 | 10μg | 3μg |
※文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂) 水稲めし・可食部100g当たりの比較データ
エネルギーやタンパク質、炭水化物の量はさほどの差はありませんが、食物繊維やカリウム、カルシウム、ビタミンB群や葉酸などの各栄養素については、玄米の方が含有量が優れていることがわかります。
玄米にダイエット・健康効果が期待できる理由は?
上述の表から読み取れるように、玄米は白米と比べ、食物繊維やミネラル(カリウムやカルシウム)、ビタミンB群などの栄養価が高いという特徴があります。これらの栄養素には、下記の健康効果やダイエット効果が期待できるとされています。
- 食物繊維
- 人の消化酵素では消化できない食べ物の中の成分。便の量を増やして便秘を予防する効果があり、近年では心筋梗塞や糖尿病、肥満などの生活習慣病の予防に役立つこともわかってきている。
- カリウム
- 細胞を正常に保ち、血圧を調整するなど、体内を良い状態に保つサポートをする栄養素。血圧を下げる作用もあるとされ、摂取量を増やすと脳卒中予防、骨密度の増加につながることが期待される。
- カルシウム
- 骨や歯などを作る栄養素。
- マグネシウム
- 骨や歯の形成に必要な栄養素。神経の興奮を抑える、エネルギー源を作るサポートをする、血圧の維持などの作用もあるとされる。
- ビタミンB1
- 糖質からエネルギーを作り出し、皮膚や粘膜の健康維持を助ける作用のある水溶性ビタミン。糖質を栄養源として使う、脳神経系の働きの正常化にも関係するとされる。
- ビタミンB2
- 皮膚や粘膜の健康維持に必要な水溶性ビタミン。糖質、脂質、タンパク質を体内でエネルギーに変えるなど、代謝を支える重要な働きを担う。
- ビタミンB6
- 食品中のタンパク質からエネルギーを生み出し、筋肉や血液などを作るときに作用する水溶性ビタミン。皮膚や粘膜の健康維持作用もあるとされる。
- ナイアシン
- 糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを生み出す際に働く「酵素」を補助する働きを担う、ビタミンB群の一種。
- 葉酸
- たんぱく質や細胞を作るのに必要な、DNA等の「核酸」を合成する水溶性ビタミン。赤血球の細胞の形成をサポートする作用があるため、細胞分裂が活発な胎児の正常な発育に役立つ点で、妊娠初期の女性は摂取が推奨される。
玄米にダイエット効果が見込める理由の一つが、食物繊維の多さです。「不溶性食物繊維」は紹介した通り便秘を予防する効果がありますが、「水溶性食物繊維」は、食べ物の消化や吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防いだり、余分な脂肪を吸着して排出させる効果があると考えられています。
血糖値が急激に上昇すると、糖を脂肪に変換する「インスリン」が多く分泌されてしまいます。だからこそ、血糖値の急上昇を防ぐ水溶性食物繊維が含まれる玄米は、白米とさほどカロリーは変わらない一方で、ダイエット成功のカギを握るお米ともいえるのです。
おわりに:玄米は白米よりも栄養価が高い分、健康効果も期待できる
玄米は白米と違い、「胚芽」や「ぬか」が残っている状態なので、これらに含まれる栄養素も補給できるという特徴があります。健康効果だけでなく、ダイエット効果も見込めるので、白米食がメインという人は、まずは週に1回のペースで玄米食を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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