キッチンやトイレ、お風呂場など、水場にカビがはえるのは有名です。他にも、クローゼットや押入れなど、長期間使っていない場所や空気が淀んでいる場所にもカビははえやすいです。そして、クローゼットの中にしまっているスーツにもやはりカビがはえてしまうことがあります。今回は、スーツにカビがはえてしまう原因やその掃除方法、カビをはやさないための予防対策についてご紹介します。
スーツにカビがはえる原因って?
そもそも、カビがはえるために必要な条件は以下の4つです。
- 60〜70%以上の湿度(場合によっては40%ぐらいではえることも)
- 20〜30℃くらいの温度
- 栄養源
- 酸素(空気)
カビは細菌の一種(真菌)であり、人間と同じように生きています。そのため、酸素や栄養源がなければ生きていけません。その栄養源となるものは人間の皮脂や汗、ホコリ、食べカスなどのゴミが当てはまります。ですから、夏場に汗をかいてそのまま高温多湿のクローゼットにしまったスーツは非常にカビがはえやすい状態だと言えます。
クローゼットの中は空気が入れ替わりにくいこと、服を詰め込みすぎていることなどから風通しが悪く、湿度が高くなりがちです。また、一年を通じて室温と同じくらいの20〜30℃に保たれ、カビが好む温度と言えます。さらに、スーツの素材であるウールはタンパク質からできており、カビの格好の栄養源となってしまいます。
このような理由から、スーツを着たまましまってクローゼットに放置しておくと、カビがはえやすい状態になってしまうのです。
スーツのカビの掃除方法
もし、タンスやクローゼットに入れておいたスーツにカビがはえてしまっていた場合、クリーニングでなくとも自宅でカビを落とすことができます。スーツにはえるカビは大きく分けて白カビと黒カビの2種類ありますので、それぞれに分けて落とし方を見ていきましょう。
スーツについた白カビの掃除方法
白カビの落とし方は、大きく分けて3種類あります。しかし、どの落とし方をするにも重要なことは「カビを完璧に落とそうと思わない」ということです。カビは本来、肉眼では見えないほど小さな微生物です。あくまでも、クリーニングに出す前の一時的な応急処置であることを理解して行いましょう。
ぬるま湯で叩き洗いする
まず1つめは、特別な道具が全く必要でない「ぬるま湯で叩く」という方法です。30〜40℃のぬるま湯とタオル、アイロンを用意したら、以下の手順でカビを落としましょう。
- 1:ぬるま湯にタオルをつける
- 用意したぬるま湯にタオルをつけ、しっかりと固く絞る
- 2:カビがはえた部分を叩く
- 絞ったタオルでカビがはえた部分をトントンと叩くようにして落とす
- 拭いてしまうとカビが繊維の中に入り込んでしまうため、必ず叩き落とす
- 3:アイロンをかける
- 最後に、あて布をしてアイロンをかける
最後にアイロンをかけるのは、60℃以上の高温でカビを死滅させるためです。スーツが焦げないよう、必ずあて布をして行いましょう。
エタノールでブラッシングする
次に、カビを死滅させられるエタノール(消毒用アルコール)を使ってブラッシングする方法です。この方法の場合、エタノールをかけるとスーツによっては色落ちしてしまうことがありますので、必ず裾の裏側など見えない部分で色落ちテストを行い、色落ちしないことを確認してから行いましょう。
用意するのは、エタノール・歯ブラシ・アイロンの3つです。
- 1:エタノールを歯ブラシにつける
- 歯ブラシの毛先をつける程度で構わない
- 2:ブラッシングする
- カビがはえた部分を軽く叩くようにブラッシングする
- 3:アイロンをかける
- 最後に、あて布をしてアイロンをかける
ハッカ油でブラッシングする
最後は、天然成分のハッカ油を利用してブラッシングする方法をご紹介します。ハッカ油は薬局などで売っていて、キッチンの虫よけや制汗剤、アロマなどにも使えますので、1本用意しておくと便利でしょう。
用意するものは以下のようになっています。
- ハッカ油
- エタノール
- 水
- スプレーボトル
- 歯ブラシ
- アイロン
つまり、ざっくり言うとハッカ油スプレーを作り、吹きかけてブラッシングし、最後にアイロンをかけるという流れです。具体的には、以下のような手順で行いましょう。
- 1:ハッカ油スプレーを作る
- ハッカ油10滴、消毒用エタノール10mL、水90mLの割合でスプレーボトルに入れ、振り混ぜる
- 2:スーツに吹きかけ、ブラッシングする
- こするとカビが繊維の隙間に入り込んでしまうので、こすらず叩いて落とす
- 3:アイロンをかける
- 最後に、あて布をしてアイロンをかける
スーツについた黒カビの掃除方法
黒カビは、基本的にクリーニングに出すしかありません。しかし、ウール100%のスーツに限り、以下の方法で応急処置ができる可能性があります。ただし、これも前述の白カビと同じように応急処置ですので、できるだけ早くクリーニングに出しましょう。
まずは、以下の道具を準備します。
- バケツ
- 50℃のお湯
- 酸素系漂白剤
- ハンガー
- ゴム手袋
準備できたら、以下のような手順でカビを落としていきます。
- 1:バケツに洗浄液を作る
- 50℃のお湯1Lに対し、酸素系漂白剤10gの割合で作る
- 2:スーツを洗浄液に入れ、こすり洗い
- 必ず手袋をつけて行う
- 3:1時間程度つけ置きする
- できるだけ内側まで染み込ませ、殺菌する
- 4:洗濯機のドライコースで洗濯
- ドライコースや手洗いコースなど、弱水流のコースで行う
- 5:ハンガーにかけ、風通しの良い日陰に干す
- ※乾いてもカビが目立つなら、すぐにクリーニングへ
洗濯機のドライコースで洗濯するときは、できれば洗濯ネットに入れましょう。そうすることでスーツの型崩れをより防ぐことができます。
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スーツにカビをはやさないための予防対策は?
上記のように、スーツにカビがはえてしまったときに家庭でできる対処法は、あくまでも応急処置でしかありません。結局はクリーニングに出さなくてはならなくなりますので、余分な出費を防ぐためにも、必ずカビ対策を行いましょう。主に以下の5つがポイントです。
- クローゼットを換気する
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- カビ対策の基本は湿気・温度対策。高温多湿の環境をそのままにしない
- 閉め切ったクローゼットの中は空気が淀み、カビの絶好の巣に
- 必ずしも毎日行う必要はないが、からりと晴れた日などはクローゼットの扉をときどき開けっ放しにするとよい
- クローゼット内に服を詰めすぎない
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- クローゼット内に服を詰めすぎると、隙間がなくなり風通しが悪くなる
- クローゼットの換気で湿度が下がらない場合、隙間がないかも
- カビのエサになるホコリも溜まりやすいため、できるだけ間隔を広めに開けておく
- 汗をかいたらスチームアイロン
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- 人間の汗や皮脂もカビのエサになりやすいため、汗をかいた日のスーツをそのままにしない
- スチームアイロンをかけ、汗やニオイをとってからクローゼットにしまうとよい
- ビニールをかぶせない
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- クリーニングから返ってきたときなど、そのままクローゼットにしまいがちだがNG
- ビニール内は湿気がこもりやすくなるため、カビが生えやすい状態に
- クローゼットにしまうときは、必ずビニールを外す
- できるだけ毎日ブラッシング
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- スーツを着る機会が多いなら、できるだけ毎日ブラッシング
- カビのエサになるホコリや皮脂を落とし、カビを発生する前に予防する
これらの対策は、いずれもちょっとした工夫や手間で行えることばかりです。仕事から帰ってきたときは疲れているかもしれませんが、ひと手間かけておくだけでクリーニングの回数を減らすことができ、余分な出費も避けられます。ぜひ、今日から実践してみましょう。
おわりに:スーツにカビがはえたら、応急処置をして早めにクリーニングへ
カビは水場にはえるというイメージが強いですが、常に高温多湿な環境になりやすいクローゼットの中もカビがはえやすい環境になってしまっています。そのため、夏に汗をかいたまましまったスーツにカビがはえてしまう、などということもあるのです。
スーツにカビがはえてしまったら、すぐ使わないときはまずクリーニングに出しましょう。緊急の用事があるときは、応急処置を行ってできるだけ早めにクリーニングに出します。
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