ベッドや畳、フローリングなどの上に敷いて使う寝具であるマットレスですが、何年も使っているうちにへたってきて、やがて寝心地が悪くなってしまったり、汚れがひどくなってしまったりします。
このような状態になると、そろそろマットレスの寿命と言えるでしょう。この寿命はマットレスの材質によってどのように異なり、伸ばすためにはどんなことに気をつければよいのでしょうか。
マットレスの寿命の目安って?
マットレスの寿命は一般的に5〜10年程度とされていますが、素材や品質、メンテナンスなどによって大きく差が出ます。主なマットレスは真ん中にコイル部分があり、その上下に詰め物がしてあり、さらに一番外側を布地で巻いたものです。他にもウレタンが詰まったウレタンマットレス、ポリエチレン樹脂で作られたファイバーマットレス、天然ゴムのラテックスマットレスなどがあります。
コイルマットレスの寿命の目安って?
コイルマットレスには主に3種類あり、「ポケットコイルマットレス」「ボンネルコイルマットレス」「高密度連続スプリング」に分けられます。
- ポケットコイルマットレス
- 質が高いものなら7〜9年程度、質が悪いものなら3〜5年程度
- ポケットコイルはボンネルコイルよりも寝心地が良く、その分価格は高いが耐久性に劣る
- ポケットコイルはボンネルコイルと違って独立したコイルなので、集中した負荷に弱いため
- コイルどうしの密度によっても寿命は異なる
- ボンネルコイルマットレス
- 質が高いものなら8〜10年程度、質が悪いものなら3〜5年程度
- 一面につながったスプリングなので、へたりにくく耐久性が高い
- 高密度連続スプリング
- 10年程度が目安で、フランスベッドのみが販売権を持っている
コイルは単に寿命が異なるだけでなく、寝心地を決める重要なポイントにもなります。好みの寝心地のコイルを知っておくと、寿命の目安を知ることもできます。
その他のマットレスの寿命の目安って?
コイルマットレス以外でよく流通しているのが、ウレタンを使ったタイプのマットレスです。ウレタンタイプのマットレスは、コイル以上に品質が寿命に大きく影響します。ウレタンマットレスには、低反発と高反発の2種類があります。
- 低反発ウレタンマットレス
- 質が高いものなら3〜5年程度、質が悪いものなら1〜2年程度
- 低反発マットレスは柔らかいため、常に体重がかかって沈み込むことからへたりやすい
- 低反発ゆえに、元の形状に戻りにくいため他のマットレスより寿命が短い傾向にある
- 高反発ウレタンマットレス
- 質が高いものなら6〜8年程度、質が悪いものなら3年程度
- 密度(D)という数値が耐久性を表し、密度30D以上の高価格帯は寿命が長く、密度30D未満の低価格帯は寿命が短い
- 折りたたみマットレスの場合も、高反発マットレスであれば同様の寿命
また、少し珍しいタイプのマットレスとして、ポリエチレン樹脂でできたファイバーマットレス、天然ゴムでできたラテックスマットレスなどもあります。
- ファイバーマットレス
- 質が高いものなら6〜8年程度、質が悪いものなら3年程度
- ポリエチレン樹脂で作られ、丸洗いできるのが特徴のマットレス
- ラテックスマットレス
- 天然100%のものなら6〜9年程度、天然の割合が低い合成ラテックスでは3年以下のことも
- 原料となる天然ゴムの樹液はへたりにくく、耐久性が高い
価格が寿命の目安になるの?
マットレスの価格は数千円〜数十万円とかなり幅が広く、基本的には価格が高いほど質が良いと言えるでしょう。例えば高級ベッドのメーカーとして有名なところにシモンズやシーリー、フランスベッドや日本ベッドなどが挙げられます。これらのメーカーのマットレスは価格帯も高いですが、その分耐久性も高く、寿命が長い傾向にあります。
価格が高ければ絶対に寿命が長い、というわけではありませんが、ある程度の目安にはなるでしょう。
マットレスの寿命はどうやってチェックすればいい?
マットレスは毎日使うものだからこそ、替え時の判断に困ることも多いでしょう。しかし、替え時を過ぎたマットレスを使っていると寝心地が低下して睡眠の質を下げたり、腰や背中を痛めたり、汚れによる雑菌などでアレルギーを引き起こしたりとさまざまな不都合が起こってきます。ですから、以下のような「へたり具合」のポイントに思い当たることが多ければ、買い替えを検討しましょう。
- 寝返りをよく打つ、寝つきが悪い
- 朝、目が覚めると腰が重く感じたり、肩が張っていると感じたりする
- マットレスに腰が当たる部分がへたり、凹んだと感じる
- マットレスのコイルがきしんで音がする
- コイルが飛び出したり、背中に当たったりする感触がある
- 買ったときよりもマットレスが柔らかいと感じる
- 表生地が擦り切れたり、破れたり、ひどく汚れたりしている
- カビがはえている
まず、マットレス内部のコイルや素材がへたってくるとクッション機能がなくなりますので、体圧を分散できなくなり、寝ているときの姿勢が悪くなったり、腰に負担がかかったりします。腰や背中の血行不良が起こることもあり、朝起きたときに腰に疲れが出たり、酷い場合は腰痛になったりしてしまうことがあります。
コイルマットレスの場合、表生地や詰め物(ウレタンや綿など)が劣化してくると、中のコイルスプリングが背中に当たる感触がしたり、コイルスプリングが飛び出してきたりします。寝ているときに背中や腰にスプリングが当たると疲れてしまいますし、スプリングが飛び出した状態では怪我をしてしまうこともあります。
表生地が擦り切れたり破れたりしてしまうことも、肌触りが悪くなるだけでなく、コイルスプリングが飛び出してくる原因になります。中の綿やウレタンが直接肌に当たると吸水性が低いため、蒸れやすくかぶれなどを引き起こすことも考えられます。汗ジミやカビなどの汚れが発生している場合も、買い替えを考えて良いでしょう。
マットレスの寿命をのばすための対処法とは?
マットレスの寿命の目安を知ることも大切ですが、できるだけ長く使えるよう寿命をのばす対策を行うことも重要です。マットレスの寿命をのばすためには、「除湿でカビや劣化を防ぐ」「定期的にひっくり返す」「寝具アイテムを使う」の3つの対策が考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
マットレスを除湿して寿命をのばすには?
マットレスには、寝汗などの湿気が溜まりやすいです。湿気が溜まったままだと、表生地や中の詰め物、綿、ウレタンなどの劣化を早めてしまいますし、ダニやカビの繁殖を促す原因にもなってしまいます。そこで、以下のようなポイントに気をつけましょう。
- マットレスは床に直接置かず、すのこなどを活用する
- どうしても床に直置きする場合は、こまめにマットレスを壁に立てかける
- マットレスの底面に定期的に空気を当てる
- 寝室をこまめに換気する
- 天気の良い日や空気の乾燥した日に、マットレスを立てかけて風を当て、陰干しする
- ベッドやマットレスを壁から離して置き、空気の通り道を作る
寝汗の多い人や湿度の高い地域に住んでいる人、寝室に湿気がこもりやすい人は特にこうした対策を心がけましょう。
マットレスを定期的にひっくり返して寿命をのばすには?
いつも同じ面の上に寝ていると、マットレスの同じ場所に負荷がかかってしまい、クッション性が低下するスピードが早まり寿命が短くなってしまいます。そこで、定期的(2〜3ヶ月ごと)にマットレスの上下・裏表をひっくり返してローテーションして使うと、マットレスのクッション性が低下しにくくなります。
ただし、裏表をひっくり返すのはマットレスが両面使用可能なタイプでのみ有効なので、裏面が使えないマットレスの場合は上下をひっくり返すだけにしておきましょう。使用中のマットレスが両面使用可能かどうかわからないという場合は、購入した店舗やメーカーに確認してから行いましょう。また、厚みのあるマットレスほど重く危険なので、無理に行うと怪我をする可能性もあります。自力で動かすのが難しい場合は、無理をしないようにしましょう。
寝具アイテムを使ってマットレスの寿命をのばすには?
寝具アイテムを使ってマットレスの寿命をのばす方法もあります。具体的には、ベッドパッドや敷きパッドでへたりを予防したり、除湿シートでマットレスの湿気をとったり、マットレスプロテクターで汚れを防いだりする方法です。
- ベッドパッドや敷きパッドでへたりを予防する
- 寝汗がマットレスに染み込むのを大幅に軽減し、表生地や詰め物の劣化を防ぐ
- ベッドパッドや敷きパッドは、汚れ対策にもなる
- ベッドパッドや敷きパッド、シーツはこまめにお手入れや洗濯する
- 除湿シートでマットレスの湿気をとる
- 吸湿性の高い線維や素材(シリカゲルなど)で作られたシートで、マットレスの下に敷くと湿気を吸収してくれる
- 1〜2週間に1回は除湿シートを干し、溜まった湿気を吐き出させることが必要
- マットレスをフローリングに直置きしているという人には、特におすすめ
- マットレスプロテクターで汚れを防ぐ
- 寝汗、皮膚、フケ、ホコリなどの汚れがマットレスに侵入するのを防ぐ
- 敷きパッド同様、表生地や詰め物の劣化を防げる
- 理想的な選択頻度は週に1回程度
おわりに:マットレスの寿命をのばすためには、除湿とひっくり返しが重要
マットレスにはコイルタイプ、ウレタンタイプ、ファイバータイプ、ラテックスタイプなどがあります。マットレスの寿命は素材や品質によっても左右されますが、湿気による劣化や汚れ、同じ場所への負荷によるへたれなども寿命に関わります。
そこで、マットレスの寿命をのばすためには定期的な換気や陰干し、除湿シートの利用、定期的にひっくり返して負荷をかける場所を変える、パッドによるへたり予防などを行いましょう。
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