ベッドフレームにマットレスを敷いて寝る人、床にマットレスを敷いて寝る人など、主に洋間の部屋でよく使われる寝具のマットレスですが、マットレスに正しい使い方があると知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、そんなマットレスのパッドやシーツなどを含めた正しい使い方、ベッドや床での使い方の違い、マットレスの上に布団を敷いてもいいのかといった基本的な使い方をご紹介します。
マットレスのパッドやシーツの正しい使い方って?
マットレスのパッドやシーツは数が多くてどの順番に敷けば良いのかと悩む人も多いのですが、これらの順番は役割によって明確に決まっており、下から順に以下のように敷いていけば正しく使えます。
- 除湿シート
- マットレス本体
- マットレスプロテクター
- ベッドパッド、マットレストッパー
- シーツ(カバー)
- 敷きパッド
もちろん全てのアイテムを使う必要はありませんので、以下のような使用目的に合わせて購入しましょう。
- 除湿シート
- 寝汗などの湿気をとり、カビを防ぐ
- マットレスプロテクター
- 汚れを防ぎ、マットレス本体を寝汗などから守る
- ベッドパッド、マットレストッパー
- 寝心地をよくし、マットレス本体を寝汗などから守る
- シーツ(カバー)
- マットレスの汚れを防ぐ
- 敷きパッド
- 肌触りや温度の調整をする
では、具体的にどれを購入すれば良いのか、詳しい使い方とその目安について見ていきましょう。
必要最低限で済ませたいときは?
マットレス周辺のアイテムを必要最低限で済ませたい、という場合は「敷きパッド」または「マットレスプロテクター」のいずれかが良いでしょう。どれか一つなら見栄えとしてシーツを選んでしまう人は多いのですが、シーツだけではマットレスを寝汗などの汚れから守ることができず、汚れやすくなってしまいます。
ですから、防汚性に優れる敷きパッドやマットレスプロテクターでマットレス本体をしっかり守りましょう。肌触りが好みの生地の敷きパッドを使ったり、夏には接触冷感生地の敷きパッド、冬には吸湿発熱素材や起毛生地の敷きパッドと使い分けたりするのがおすすめです。小さな子どもや介護などで夜尿に悩んでいる場合は、敷きパッドではなく防水仕様のマットレスプロテクターが良いでしょう。
肌触りにこだわりたいなら?
前述のように、敷きパッドやマットレスプロテクターは一枚あればマットレスの防汚効果が期待できますが、残念ながらあまり素材の種類が豊富ではありません。海島綿やGIZA45などの超長綿、シルク素材のなめらかな触り心地など、肌触りにこだわりたいならマットレスプロテクターや敷きパッドの上からベッドシーツをかぶせましょう。
このとき、ベッドシーツは週に1〜2回を目安に、敷きパッドやマットレスプロテクターは3〜5週間に1回を目安に洗うようにしましょう。敷きパッドやマットレスプロテクターに比べるとベッドシーツはこまめに洗いやすいので、寝具の衛生面を考えても、ベッドシーツを1枚かぶせておくと清潔を保てます。
ただし、前述のようにマットレスに直接シーツだけを敷くのはおすすめできません。マットレス本体が汚れやすいだけでなく、寝汗で湿気てしまうためマットレス本体の寿命を縮めやすくなってしまうからです。マットレス本体にこだわって高価なものを購入した場合はなおさらですから、敷きパッドやマットレスプロテクターを忘れないようにしましょう。
ふかふかな寝心地にしたいときは?
マットレスが長期間の使用でへたっていたり、非常に薄いものを買っていたりして、よりふかふかな寝心地にしたいという場合はベッドパッドやマットレストッパーを使いましょう。このような製品の性質上、基本的に新品のマットレスと合わせて購入する必要はありませんが、マットレスの寝心地が悪くなってきたら買い替えの代わりに購入を検討してみると良いでしょう。
ベッドパッドは敷きパッドと比べて厚みがしっかりしているものが多いため、毎週洗うような使い方には向いていません。そのため、「ベッドパッド・ベッドシーツ」という組み合わせか、「マットレストッパー・敷きパッド」という組み合わせで使い、ベッドシーツや敷きパッドをこまめに洗うようにしましょう。
ベッドパッドと敷きパッドを重ねるのも間違いではありませんが、パッドを2枚重ねるのは寝心地などにやや違和感を感じるかもしれません。また、マットレストッパーはウレタンやラテックス素材のものが多いため、シーツよりも防汚性の高い敷きパッドがおすすめです。このような理由から、上記の組み合わせを守ってアイテムを揃えるのが良いでしょう。
ベッドパッドとマットレストッパーはどっちを選べば良いのかですが、まずはっきりした違いとして、マットレストッパーは分厚く、本格的に寝心地を改善してくれます。そのため、マットレス本体が硬いと感じる人はマットレストッパーを使うのが良いでしょう。マットレス本体が寝にくいほど硬くはないが、補助的に寝心地を改善したい、というような場合は敷きパッドでも構いません。
寝室の湿度が高いなら「除湿シート」が必須
必ずしも必須のアイテムではありませんが、寝室の湿度が常に高く(70%以上)なりやすい場合や、マットレス本体がウレタン製やラテックス製である場合にはマットレスの下に敷いて使うと良いでしょう。
日本では夏は高温多湿、冬は結露と室内では一年中湿度が高くなりやすく、カビが生えやすい環境にあると言えます。そのため、マットレスに何も湿気対策をしないと気がつかないうちにカビが
はえてしまっていることもあります。ウレタンの内部にまでカビがはえてしまうと処分するしかありませんので、あらかじめ除湿シートでカビ予防を忘れずに行いましょう。
マットレスはベッドと床で使い方が違うの?
マットレスの使い方は大きく分けて「ベッドの上で使う」「床に直接敷く」「寝具に重ねる」の3つがあります。だいたい厚みが15cm以上あるものはベッドの上で、厚みが6〜15cmあるものは床に直接敷いて、厚みが3〜6cm程度のものは寝具に重ねて使うことが多いです。
例えば、厚みが20cm以上のスプリングマットレスを床に直置きしてしまうと見栄えも良くないですし、カビなどの対策も大変になりますので、ベッドフレームの上で使うのが良いでしょう。一方で、厚みが10cm前後のウレタンマットレス、エアー系として知られる高反発ファイバーマットレスなどは、敷布団のように折り畳んでも使えるため、必ずしもベッドフレームは必要ではありません。寝心地も大きく変わらないため、好みで選びましょう。
では、具体的にベッドの上・畳やフローリングなどの床・寝具に重ねるというそれぞれの方法でのマットレスの使い方についてご紹介します。
ベッドの上でマットレスを使う方法は?
マットレスは、基本的にこのベッドフレームの上に置いて使う方法が一般的です。ベッドフレームには箱型・脚付ノーマル・ダブルクッション・すのこなどのタイプがありますが、箱型のベッドフレームの場合は通気性が悪くなりますので、以下のようなカビ対策が必要です。
- 敷きパッドやベッドパッドを敷く
- 除湿シートを敷く
- アルミシートを敷く
マットレスをベッドフレームで使うメリットとしては、箱型以外ならマットレスの通気性が高くなり、湿気対策になることや高さがあって朝起きたときに立ち上がりやすいこと、毎日片付ける手間を省けること、などが挙げられます。
畳やフローリングなどの床に直置きでマットレスを使う方法は?
マットレスが薄すぎず厚すぎない場合、畳やフローリングに直接置いて使う方法もあります。ただし、そのまま敷いてしまうと湿気でカビがはえてしまうことが多いため、すのこマットや除湿シートなどを使ってカビ対策を行いましょう。敷きパッドやマットレスプロテクター、アルミシートなどもカビ予防に効果的です。
床に直接置くと、数万円するベッドフレームを購入しなくても済みますし、朝起きてサッとマットレスを片づければ、部屋を広々と使うことができます。薄型のマットレスなら、折り畳んでコンパクトに収納することも可能です。
ただし、逆に敷きっぱなしにするとカビがはえやすくなってしまいますので、使わないときはマットレスを壁に立てかけておいたり、梅雨時などの湿気が多い時期には扇風機の風をマットレスの両面に当てるなどして湿気を飛ばしたりするなど、カビ対策をしっかり行いましょう。
寝具に重ねてマットレスを使う方法は?
寝具に重ねて使うタイプは、主にマットレストッパーと呼ばれることが多く、新しいマットレスに買い替えたり、現在のマットレスを処分したりしなくても比較的低コストで寝心地を改善できることが大きなメリットです。寝具の上に重ねるタイプのマットレストッパーの場合、商品説明欄に「トッパー」「オーバーレイ」「パッド」などの表記がありますので、マットレストッパーを購入したいときにはこの表示を確認しましょう。
マットレスの上に布団を敷くのはNGって本当?
上記で敷布団の上にマットレスを重ねる方法はご紹介しましたが、逆にマットレスの上に敷布団を重ねて使ってはいけないのでしょうか。そもそも、厚さ6cm以上など厚いタイプのマットレスは単体で使うことを想定して作られていますので、敷布団を重ねて使う必要はありませんが、敷布団をマットレスの上に重ねる方法はあまりおすすめできません。
その理由は、マットレスと敷布団の間に湿気が溜まりやすくなり、カビがはえやすい環境になってしまうからです。カビ予防のためにはこまめに布団を干さなくてはなりませんが、敷布団のように重くかさばるものをこまめに干すのはかなり大変です。もしマットレスを汚れから保護したい場合、敷きパッドやマットレスプロテクターを使いましょう。
また、敷布団は畳の上で使うことを想定して作られていますので、マットレスの上で敷布団を使うと身体が沈み込みすぎてしまい、寝るときの姿勢が悪くなってしまう可能性があります。これは、畳はマットレスよりもはるかに固いため、柔らかいマットレスの上に敷布団を重ねてしまうと身体が沈み込んでしまい、マットレスの反発弾性などの機能も損なわれてしまうのです。
ですから、どうしてもマットレスと敷布団を重ねて使いたい、という場合は敷布団を下に、マットレスを上に重ねましょう。もし、マットレスの上に直接寝ると腰が痛い、夜中に腰に疲れを感じて目が覚めてしまう、などの場合は、以下のような対策を行いましょう。
マットレスを使うときの腰痛対策って?
マットレスの上に寝て腰痛が起こる場合、まずは以下のような応急処置を行いましょう。マットレスが柔らかすぎる場合、固すぎる場合でそれぞれ対策が異なります。
- マットレスが柔らかすぎる場合
- マットレスが柔らかすぎて身体が沈み込みすぎる場合は、沈み込みがひどい場所にタオルを仕込む
- 沈み込みすぎることによる姿勢の悪化を防ぎ、寝返りもしやすくなる
- タオルを背中や腰に感じることから、寝心地はどうしても少し悪化する
- マットレスが固すぎる場合
- 膝を立てて寝ることで、腰の痛みが緩和できる
- 固すぎるマットレスの場合、寝ている人の身体の曲がり方にマットレスがフィットせず腰の部分に隙間が生まれてしまう
- 膝を立てるとマットレスと腰の間の隙間を自然に埋められるため、腰痛を和らげられると期待できる
- 膝の下にクッションを置いたりして、膝が立った状態をキープする
ただし、上記のいずれも応急処置であり、ずっとタオルを入れたまま、膝を立てたままで寝ているわけにはいきません。そこで、根本的な対策としてベッドパッドやマットレストッパーを敷いて寝心地を調節しましょう。マットレスの上に直接パッドやトッパーを敷き、その上からシーツをかけて、必要ならば敷きパッドを敷きます。
マットレスが固すぎる場合は直接マットレスの上にベッドパッドやトッパーを敷いて寝心地を調整しましょう。逆にマットレスが柔らかすぎる場合は、沈み込みすぎる場所にタオルを仕込み、その上からベッドパッドやトッパーを重ねて固定すると良いでしょう。
おわりに:マットレスは、単体または布団の上に重ねて寝心地を調整しよう
マットレスには薄いものから厚いものまでさまざまなタイプがありますが、厚みが15cm以上ならベッドで、6〜15cmなら床に直接置いて、3〜6cmなら寝具に重ねて使うのが一般的です。
マットレスの上に敷布団を敷いて使う人もいますが、本来は敷布団の上にマットレスを敷いて寝心地を調整するのが正しい使い方です。敷布団を上にするとカビがはえやすくなってしまったり、寝る姿勢が悪くなってしまったりするため、注意しましょう。
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