お風呂場は、常に湿気が多く長時間にわたって人肌に近い温かさが保たれている場所で、とくに細菌やカビにとって非常に都合のいい環境と言えます。タイルの間にピンク色の汚れや黒いカビが見えて、慌てて掃除したという経験がある人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではお風呂の基本的な掃除方法についてご紹介します。汚れの種類や場所によって洗剤や道具を使い分け、効率よくキレイに掃除しましょう。
お風呂の汚れの原因と掃除に必要なものとは?
お風呂の汚れは、「皮脂汚れ」「黒カビやピンク色の汚れ」「水アカや石鹸カス」と、その性質によって大きく3つに分けられます。
- 皮脂汚れ(弱酸性の汚れ)
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- 家庭用のお風呂用中性洗剤や、重曹スプレー・重曹ペーストなどアルカリ性の洗剤を使う
- お風呂場では水アカや石鹸カスと混ざり合ったりして、落としにくいことも多い
- 黒カビやピンク色の汚れ
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- いずれも、塩素系の漂白剤や市販のカビスプレーなどを使う
- ピンク色の汚れはまだカビではないものの、さらに放置していると黒カビになる部分
- より効果的に漂白剤を使うなら、漂白剤の上からラップをするのがおすすめ(デコボコしている部分にも使える)
- 水アカや石鹸カス(アルカリ性の汚れ)
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- 家庭用のお風呂用中性洗剤か、クエン酸スプレーやお酢など酸性の洗剤を使う
- 水アカは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムが固着したもので、アルカリ性
- クエン酸など酸性の洗剤が落ちやすいが、お風呂用中性洗剤でも良い
なかでも、とくに黒カビは湿気を好み、結露の多いところに発生しやすいとされていますので、お風呂場は黒カビが非常に繁殖しやすい場所と言えます。単なる見た目の悪さだけでなく、アレルギーの原因にもなるとされていますので、最低限黒カビやピンク色の汚れは見つけたら除去するようにしましょう。
他にも、お風呂にいる細菌で有名なものの1つに「レジオネラ菌」があります。塩素系の漂白剤を使用している温泉でも、レジオネラ菌が繁殖してしまってニュースになることがありますから、それだけお風呂に潜む雑菌は繁殖力が強いということです。とくに、赤ちゃんや小さな子どもがいる家では、こうした雑菌が繁殖しないようにしっかり掃除をし、衛生的なお風呂に入れてあげましょう。
また、上記のような汚れの特徴から、市販のお風呂用洗剤だけでは十分に汚れが落ちないことも多いです。そこで、洗剤としてクエン酸や重曹、塩素系漂白剤、カビキラーなどのカビ取り剤を用意しましょう。また、クエン酸や重曹をスプレーするための容器も同時に用意しておくと、広い範囲に吹きつけられるので便利です。
クエン酸や重曹、そしてスプレーの容器などは特別高価なものを用意しなくても、100円ショップなどの掃除用品コーナーにあるもので構いませんが、洗って何回も使い続けたいという場合は作りのしっかりしたものを買うのも良いでしょう。他にも、以下のようなグッズがあると効率的に掃除ができます。
- ラップ
- キッチンペーパー
- 布切れ(掃除後に捨てても良いもの)
- スポンジ
- フロアワイパー、もしくは伸縮する棒など
布切れは掃除が終わったらすぐ捨てられるよう、日頃から服を捨てるときには掃除のしやすいサイズに切って掃除用品としてストックしておくと便利です。ラップやキッチンペーパーは普段からキッチンで使っているもので構いません。
お風呂の場所別の掃除のやり方のポイントは?
お風呂の掃除は、「天井・壁」「蛇口」「浴槽」「鏡」「排水口」「浴室(床)」「エプロン」の7ヶ所に分けられます。それぞれ、掃除のポイントや手順を詳しく見ていきましょう。
お風呂の天井や壁の掃除のポイントは?
湿気がこもりやすいお風呂場の天井や壁には、黒カビが生えやすくなっています。天井や壁に黒い点々がぽつぽつとついていたら、それが黒カビです。天井の角や壁の角もカビが生えやすい場所ですので、よく確認しましょう。こうした黒カビを取り除くには「カビ用洗剤」や「塩素系漂白剤」を使います。
いずれも強い薬品ですので、マスクやゴーグルとヘアキャップをし、換気扇を回したり窓を開けたり、お風呂場のドアと家の窓を開けたりしてしっかり換気しながら掃除をしましょう。とくに、天井にカビのスプレーや漂白剤をかけるときは、自分に薬品がかからないよう十分に注意しながら行います。
掃除の手順としては、天井を先に行いましょう。カビの部分にスプレーや漂白剤をかけたら、白くなるまで数分待ちます。十分白くなったことを確認したら、シャワーなどで水をかけ、しっかり薬品を洗い流します。このときも、自分に水がかからないよう注意しながらかけていきましょう。水洗いを忘れてしまうと、次にお風呂に入るとき、湯気とともに薬品が落ちてきてしまい、目や口に入って病院を受診しなくてはならなくなることもありますので、必ず水洗いを忘れずに行いましょう。
天井が終わったら、壁を掃除します。基本的にはお風呂用の洗剤とスポンジで洗いますが、黒い点々部分は黒カビですから、狭い範囲ならカビ用洗剤や漂白剤をスプレーして少し置き、歯ブラシなどで擦って落とします。範囲が広ければ、換気をしっかりした上で、天井の掃除と同じようにマスクやゴーグルをつけ、スプレーして数分置いて洗い流します。
黒カビに洗剤や漂白剤をかけた後で数分置くのは、洗剤や漂白剤の効果が内部の黒カビまでしっかり浸透するのを待つためです。スプレーした直後に擦ってしまうと表面の黒カビは落ちますが、内部の黒カビが生きた状態で残ってしまい、またすぐにカビが再発生してしまうことになります。必ず数分の時間を置いてから擦って落としましょう。
お風呂の蛇口の掃除のポイントは?
次に、お風呂の蛇口を掃除するポイントを見ていきます。蛇口の周りは、うろこ状の水アカだけでなく、人が触ることによる皮脂汚れや手アカ、石鹸カスなど、さまざまな汚れがついています。そのため、酸性(クエン酸)とアルカリ性(重曹)の洗浄液を両方使います。どちらが先でも構いませんが、使った後はよく水で洗い流してから次の洗浄液を使うようにしましょう。
クエン酸で落とせるのは「水アカ」で、キッチンペーパーを蛇口周りの気になる部分に隙間なく巻きつけ、ペーパーに染み込ませるようにクエン酸スプレーを上からふりかけます。全体がしっとりしたら30分程度放置し、汚れが一番ひどかった部分をめくり、指で軽く擦ってみます。このとき、水アカが取れているようなら、全体のキッチンペーパーを取り、布やスポンジで優しく磨き上げます。30分しても水アカが落ちなければ、クエン酸スプレーを追加してさらに30分待ちます。この繰り返しで、水アカがキレイになっていきます。
重曹で落とせるのは「皮脂汚れや手アカ」です。重曹(液またはスプレー)を直接蛇口周りにふりかけ、ふりかけたところを古い歯ブラシで磨いていきます。スプレーでなかなか落ちない場合は、重曹の粉に少しだけ水を足した重曹ペーストを作り、汚れが落ちにくい部分にペーストを塗りつけて30分ほど待ちます。乾燥してしまわないように、ときどき重曹スプレーをふりかけましょう。
30分ほど重曹ペーストを放置した後、汚れが取れたら見てみます。汚れが取れていなければ、重曹ペーストの上からクエン酸スプレーをふりかけましょう。シュワシュワと泡がたってきますが、この泡が頑固な汚れを分解してくれるので、そのままにしておきます。一通り泡が出るのがおさまったら、歯ブラシで汚れを落としていきます。
最後に全体をキレイに拭き取って、蛇口の掃除は終了です。
蛇口の先の白いかたまりはどうすればいい?
蛇口の先の白いかたまりは、水道水の中の成分である「炭酸カルシウム」が固まったもので、ついたばかりならメラミンスポンジで擦ったり、クエン酸スプレーと歯ブラシで磨いたりすればすぐに取れます。ただし、長期間にわたって放置してしまったものはこれらのアイテムで取れないことも多いため、軽石を使って削り落とすように擦ってみましょう。このとき、蛇口自体を傷つけないように注意しながら行います。
お風呂の浴槽の掃除のポイントは?
浴槽は、日常的に掃除が必要な場所です。これも壁と同じように、基本的にはお風呂用の洗剤をスポンジにつけ、円を描くように磨いていけばヌルヌル、ザラザラとした水アカや皮脂汚れは十分キレイに落とせます。もし、家族の人数が多いなど、普通のお風呂用洗剤では水アカや皮脂汚れが落としきれないという場合は、重曹スプレーを使いましょう。
浴槽全体にまんべんなく重曹スプレーをふりかけ、数分置いて汚れが分解されるのを待ちます。ザラザラした汚れが分解されたころ、スポンジで円を描くように磨いていきましょう。その後、シャワーをかけて手で触ってみると、ザラザラしたところがツルツルになっているはずです。もし、ザラザラが落としきれていなければ、重曹スプレーを追加でかけましょう。
浴槽についた緑や青の汚れは何?どう落とせばいい?
浴槽につく緑や青の汚れは「銅石鹸」と呼ばれるものです。お湯を入れた喫水線のところによくできる汚れで、給湯器の配管内部の銅が溶け、石鹸カスや湯アカの中に混じっている人間の皮脂汚れと反応したものです。放置しているとだんだん取れにくくなり、緑や青に変色していきます。何か汚れているな、と気づいた時点で拭き取ったり、お風呂用の洗剤で落としてしまっておいたりすると良いでしょう。
緑や青に変色して取りにくくなってしまった汚れは、お風呂用の洗剤をつけて数分放置し、汚れに洗剤を染み込ませてから擦り落としましょう。それでも落ちない場合は、台所用のクリームクレンザーを使います。
浴槽についた赤い点々は何?どう落とせばいい?
浴槽に見られる赤い点々は「もらい錆」と呼ばれるものです。空気中の細かい鉄分が浴槽につき、錆びてしまうと赤い点々となって現れます。もらい錆も銅石鹸と同じように、早い段階であればお風呂用の洗剤とスポンジでサッと落とせます。時間が経って落ちにくくなってしまっている場合は、台所用のクリームクレンザーや歯みがき粉など、研磨剤が入っている洗剤を布につけ、円を描くように磨いて落とします。
蛇口やトイレ掃除で落ちない汚れに使う耐水性サンドペーパーは、浴槽には使ってはいけません。同じように表面が削れてしまって傷ができるだけでなく、浴槽の場合は常に湿気や水分にさらされることから、傷に汚れが入ったりカビが生えたりしてしまうスピードが非常に早くなってしまい、掃除が余計に大変になってしまいます。
ですから、上記のような研磨剤を含む洗剤でも落ちない場合は、「還元型漂白剤」と呼ばれるタイプの漂白剤を使います。還元型漂白剤を70度くらいの熱いお湯に溶かしてペースト状にし、もらい錆の部分につけて15分程度放置します。その後に水で洗い流せば、元通り白くなっています。ただし、FRP(繊維強化プラスチック)の浴槽にはこのタイプの漂白剤が使えませんので、注意しましょう。
お風呂の鏡の掃除のポイントは?
お風呂場の鏡は、洗面所よりもさらに水アカや手アカで汚れやすいです。しかし、やはり汚れの種類は同じですから、クエン酸スプレーを使ってキレイにすることができます。鏡にキッチンペーパーをあてながら、クエン酸スプレーをふりかけてペーパーを鏡にくっつけ、まんべんなくキッチンペーパーをくっつけたら30分程度放置します。
30分経過したら、どこか一ヶ所だけめくって指で擦り、水アカが取れているかどうか見てみます。水アカが取れているようなら、すべてのキッチンペーパーを剥がして布やスポンジなどで優しく磨いていきます。30分放置しても水アカが取れていなければ、キッチンペーパーの上からクエン酸スプレーを追加でふりかけ、また30分放置します。これを繰り返せば、キレイに水アカを落とすことができます。
お風呂の鏡はすぐに水アカでくもってしまいますので、キレイに保つためにはだいたい一週間に一回、このクエン酸パックを行うのがおすすめです。
お風呂の排水口の掃除のポイントは?
お風呂の排水口は、ヌメヌメ、ドロドロしていてあまり触りたくないという人も多いでしょう。そんな人のために、排水口に触らなくても掃除ができるグッズもたくさん売られています。排水口の上に貼りつけて髪の毛をキャッチ、シールを剥がして捨てるだけで良いというものや、水の流れで髪の毛や汚れがネットの中央に集まってくるものなど、使いやすいものを選びましょう。
ヌメヌメやドロドロ部分は、お風呂用の中性洗剤と使い古しの歯ブラシでキレイに落とすことができます。黒カビが発生している場合は、カビ取り用の洗剤や塩素系漂白剤を使いましょう。ただし、これらの洗剤を使う場合は必ず換気しながら行います。
また、排水パイプの内部の掃除には、錠剤を入れるだけの洗剤、汚れを溶かして流し落とす液状の洗剤などが売られていますので、イヤなニオイがしたり水の流れが悪くなったりした場合は、これらの洗剤も使ってみましょう。
お風呂の床の掃除のポイントは?
浴槽の床が汚れるのは、皮脂汚れや石鹸カスによるものです。変色していない程度の汚れであれば、通常のお風呂用洗剤とスポンジで落とすことができます。しかし、茶色や黒っぽく変色した部分は皮脂汚れや石鹸カスが長い間溜まってしまった汚れで、お風呂用洗剤やメラミンスポンジで擦った程度では落とせなくなってしまっています。
このような頑固な汚れには、カビ用洗剤や塩素系漂白剤を使いましょう。もちろん、このときも換気扇を回し、窓やドアを開けて換気しながら行います。カビ用洗剤や塩素系漂白剤をスプレーしただけでも効きますが、より効果を高めたい場合にはスプレーの上からラップをすると洗剤がより汚れの内部まで染み込んでいきます。
5分程度そのままにしたら、一番汚れがひどい場所をめくり、チェックしてみます。茶色や黒っぽく変色した部分が落ちていれば、ラップを剥がして全体を水洗いしておしまいです。もし、まだ汚れが落ちていない場合は、使い古しの歯ブラシなどで少し擦ってみます。擦って汚れが落ちるなら、気になる部分を擦って落としてしまいましょう。
カビ用洗剤や塩素系漂白剤は、ずっと床に放置しておくと床の素材が傷んでしまうこともあります。汚れが落ちた後は、シャワーでよく水洗いし、洗剤が床に残らないようにしましょう。
お風呂のエプロンの掃除のポイントは?
お風呂のエプロンとは、浴槽の横にあるカバーのことを言います。基本的にユニットバスでのみ開くことができ、一軒家でタイルやホーローなどの素材でできている場合は構造的に開くことができません。外せる場合は、下部を両手で持って上に持ち上げるとひっかかっている部分が外れ、簡単に開くことができます。
エプロンを外すと、長年溜まった湯アカや髪の毛、皮脂、石鹸カスなどの汚れや、それらをエサに繁殖した細菌やカビがドロドロとしています。とくに、一年以上開いていないエプロンの中はなかなか開くのに勇気がいることでしょう。しかし、そのまま放置しておくともっと汚れて大変なことになってしまうかもしれません。ぜひ、気づいた時点で掃除をしましょう。
エプロンを外せたら、以下の手順で掃除を行います。これらの作業の間は汚れが飛び散ってくるのを防ぐため、マスクとゴーグルをして行いましょう。
- シャワーを高温にし、汚れを流し落とす
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- 黒いヘドロのようなものがたくさん出てくるので、熱いシャワーで流し落とす(高圧洗浄機の代わり)
- シャワーは一番熱い温度にし、お湯の量も最大限出るようにする
- 洗剤などは一切使わず、やけどに気をつけながらお湯の温度と勢いだけで流れるだけ流し落とす
- 排水口に溜まったゴミを取る
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- 黒いヘドロや髪の毛などの汚れが排水口に溜まってくるので、ビニール手袋をしてこれらのゴミを取り除く
- 排水口に流してしまうと、詰まりの原因になってしまうため、流さず手で取る
- カビ用洗剤か漂白剤をスプレーする
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- 高温シャワーで取りきれなかった部分には、カビ用洗剤や漂白剤をスプレーする
- このときも、必ず換気をしながら行う
- 長い柄のモップで奥まで掃除
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- 湯船の下や奥の壁には自分で手が届かないため、長い柄のモップを使う
- 冷たいシャワーを全体に流す
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- 温度が温かいままだとカビが再発生しやすくなるので、最後は水で冷やす
エプロンを外しての大掃除は、できれば半年に1回、カビが繁殖する梅雨前と、年末の大掃除に行うと良いでしょう。
おわりに:お風呂は黒カビがもっとも繁殖しやすい場所。換気しながらカビ取りを
お風呂場は常に湿気がこもりやすく、そのため黒カビが繁殖しやすい場所となっています。さらに、身体をキレイにする場所である性質上、皮脂汚れや水アカもつきやすい場所です。これらの汚れには、それぞれ合った洗剤を使いましょう。
黒カビを除去するためのカビ用洗剤や塩素系漂白剤を使うときは、必ず換気をしながら行います。天井・壁・排水口・床・エプロンと、さまざまな場所に使いますので、十分注意して使いましょう。
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