近年、環境に悪影響を与えにくい「ナチュラルクリーナー」として注目を集めているクエン酸ですが、洗濯で合成洗剤ではなくクエン酸を使うことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、クエン酸を洗濯洗剤、柔軟剤として利用した洗濯のメリットや洗濯方法、クエン酸を使った洗濯の注意点などをご紹介します。クエン酸の性質を知り、より効果的に賢く使いこなしましょう。
クエン酸を洗濯で使うとどんなメリットがあるの?
クエン酸とは、レモンなどの柑橘類に含まれる酸味成分のことです。市販されているクエン酸はこの成分だけを取り出して粉末にしたもので、天然由来の成分で環境への悪影響が少ない「ナチュラルクリーナー」として注目されています。ジュースなどにも含まれる成分ですから、もちろん口に入っても安全です。小さい子どもやペットがいるお家では特に重宝することでしょう。
クエン酸は名前のとおり「酸性」の性質を持っていて、「アルカリ性」の物質と混ぜると中和してその性質を打ち消す働きがあります。この効果はさまざまな家事に応用できますが、今回は洗濯に絞ってご紹介します。クエン酸の粉末は100円ショップなどでも手軽に買えてニオイもありませんので、お試しで使ってみるのも良いでしょう。
クエン酸を実際に洗濯で使うには、洗剤として使う方法と柔軟剤として使う方法の2種類がありますが、いずれの場合もクエン酸の「酸性」が「アルカリ性」の性質を打ち消す働きを利用していますので、原理としては同じ仕組みです。また、クエン酸には殺菌効果があると認められていて、食肉を冷凍加工するときに使われることもあるほどですから、その意味でも洗濯に使うメリットがあります。
クエン酸を洗濯洗剤として使う方法は?
クエン酸は厳密に言えば「洗剤」ではありません。酸性の性質を持ち、アルカリ性の性質を打ち消す働きをすることから、化学反応(中和作用)によってアルカリ性の汚れを落としやすくしてくれる「洗浄剤」の一種であると言えます。衣類につく汚れと言えば、一般的には酸性の皮脂汚れや食べこぼしが多いのですが、以下のようなアルカリ性の汚れもあります。
- 魚や肉、卵などの生臭いニオイ
- 尿
- タバコのヤニ
- 洗濯洗剤の溶け残り
前述のように、衣類につく汚れは酸性の汚れが多いため、一般的な衣類用洗剤は弱アルカリ性の液性に調整されています。つまり、これらアルカリ性の汚れに対しては化学反応が起こらず、落ちにくく蓄積されていってしまいます。そこで、クエン酸を洗濯洗剤として使い中和してやれば、スッキリと落とせるわけです。
調理中に衣類に染み込んだ食品のニオイ、タバコのニオイ、トイレに慣れていない小さい子どもが飛び散らせてしまう尿など、アルカリ性の汚れも日常生活の中で衣類につくことはよくあります。こうした汚れやニオイはなかなか一般的な衣類用洗剤だけでは落としにくいため、時々はクエン酸で洗濯することも重要なのです。
ところで、アルカリ性の汚れと言えばキッチンやバスルームにつく水アカや石鹸カスなどが有名です。そのため、クエン酸も水回りに使っている人が多いでしょう。既にクエン酸が常備されているお家なら、ぜひ洗濯にも使ってみてください。
クエン酸を柔軟剤として使う方法は?
一般的な衣類用洗剤は弱アルカリ性に調整されている、とご紹介しましたが、これは生地に負担をかけ、ゴワゴワとした感触を残す原因にもなってしまいます。そこで、クエン酸をすすぎのタイミングで投入すると、アルカリ性の成分が衣類に残るのを防ぎ、洗濯物がふんわりと仕上がります。添加物不使用の柔軟剤として、クエン酸を使ってみるのも良いでしょう。
クエン酸を使った洗濯方法とは?
クエン酸を使った洗濯方法には、前述のように洗剤として使う方法と柔軟剤として使う方法の2種類があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。さらに、洗濯ではありませんが洗濯槽の清掃にも利用できますので、その方法についても確認します。
クエン酸を洗濯洗剤として使って洗濯しよう
クエン酸を洗剤として使う場合、普段使っている洗濯用洗剤は使いません。前述のようにアルカリ性の汚れを落とすために酸性のクエン酸を使うため、弱アルカリ性の洗濯用洗剤を使ってしまうとクエン酸と反応してしまい、クエン酸の効果がそれだけ弱まってしまうからです。何回洗ってもニオイが取れないタオルなど、雑菌が溜まってしまった洗濯物に効果的です。
具体的な手順は、以下の通りです。洗剤の代わりにクエン酸を入れるだけで、基本的には普通の洗濯と変わりません。
- 洗濯槽に水を張り、クエン酸を混ぜる(水10Lに対してクエン酸10g)
- 洗濯物を入れ、自動コースやスピードコースで洗う
- 脱水まで完了したら、通常の洗濯と同じように干す
「洗濯槽に水を張り」とご紹介しましたが、これはあらかじめ水を張っておく場合で、コースを選んでから水が注入されるタイプの洗濯機であれば、通常の洗剤と全く同じように洗剤投入口に入れて構いません。このとき、洗剤や柔軟剤は入れないように気をつけましょう。また、洗濯機でなく手洗いでも同様に洗えますが、濃いクエン酸液は肌にチクチクした刺激を感じますので、肌荒れが気になるという人は手袋をして行いましょう。
クエン酸洗濯の効果は、主にタオルで実感できることでしょう。タオルは使った後、どうしても濡れたまま干しっぱなしにしてしまうことから、時間が経つにつれて雑菌が繁殖し、ニオイの原因になりやすいのです。この繁殖してしまった雑菌とニオイは、クエン酸ですっきり取り除けます。
クエン酸を柔軟剤として使って洗濯しよう
クエン酸を柔軟剤として使う場合、洗濯自体は通常の洗剤でいつも通りに行います。その後、すすぎの段階まで来て水が透明になってきたら、一度洗濯機を止めてクエン酸を入れ、通常通り脱水まで行って干します。
- すすぎのタイミングで、洗濯機をいったん止める
- クエン酸(水30Lに対して1g)を入れ、洗濯機の一時停止を解除する
- 脱水まで終わったら、通常通り干す
柔軟剤としてクエン酸を使う場合、通常通り洗濯して構いません。すすぎでクエン酸を投入することにより、衣類に残った洗剤のアルカリ性成分が打ち消され、洗濯物がふわふわに仕上がります。このとき、最初に水に溶いてクエン酸水として柔軟剤投入口に入れておいた方が楽だと思う人も多いでしょうが、水に溶け切っていないとクエン酸の粉末が洗濯機の内側にこびりついてしまうこともありますので、すすぎのときに入れる方が確実です。
クエン酸で洗濯槽を掃除しよう
前述の衣類に使う方法とは少し異なりますが、クエン酸は洗濯槽の掃除にも使えます。具体的な手順としては、以下のように行いましょう。
- ゴミ取りネットを外し、洗濯機のふちいっぱいまで水を張る
- 粉末のクエン酸(水50Lに対して20〜30g)を投入する
- 通常の洗いコースで洗濯機を回す
クエン酸の量は目安ですから、汚れがひどいときには増やして構いません。この方法で洗濯槽を掃除できるのは、衣類用の洗剤がアルカリ性であり、基本的には酸性の汚れが溜まりにくいからです。そこで、酸性のクエン酸を投入して回せば、洗濯槽に溜まった洗剤カスなどのアルカリ性の汚れを落とせます。塩素系漂白剤などの強力な洗浄力に抵抗がある人は、ぜひやさしく洗えるクエン酸から試してみましょう。
洗濯でクエン酸を使うときの注意点は?
洗濯でクエン酸を使うときは、以下の3つのポイントに注意しましょう。
- 頻繁に使う必要はない
-
- クエン酸はあくまでも通常の洗剤で落としきれない汚れを落とす補助的な役割
- 洗濯物のニオイが取れなくなってきたな、と感じるタイミングで
- 通常の洗濯洗剤と混ぜない
-
- 衣類用洗剤とクエン酸は中和作用で互いの性質を打ち消し合ってしまう
- せっかく洗濯しても、汚れが全然落ちないということにもなりかねない
- 絶対に混ぜてはいけないものと混ぜない
-
- クエン酸そのものは人体に無害だが、塩素系漂白剤と混ぜると有毒ガスが発生する
- 塩素系漂白剤と併用することはまずないが、近くに置いたりしないよう気をつける
クエン酸は、通常の洗剤では落としきれない汚れを落とせるとは言っても、逆に衣類のメインの汚れである皮脂汚れや食べこぼしなど、酸性の汚れを落とすことはできません。ですから、クエン酸はあくまでも補助的に利用し、普段は通常の衣類用洗剤で洗濯しましょう。また、通常の洗剤と混ぜないことはもちろんですが、塩素系漂白剤と混ぜると有毒ガスが発生してしまいますので、絶対に混ぜないよう気をつけましょう。
おわりに:クエン酸は、通常の洗剤では落としきれないアルカリ性の汚れを落とせる
クエン酸は、ナチュラルクリーナーとも呼ばれる人にも環境にもやさしい成分です。厳密に言えば洗剤ではなく洗浄剤で、酸性の性質を持っているため化学反応によってアルカリ性の汚れを落とすことができます。
また、通常の衣類用洗剤が弱アルカリ性なことから、洗剤の溶け残りを除く柔軟剤としての役割も果たせます。このように便利なクエン酸ですが、有毒ガスの発生を防ぐため塩素系漂白剤とは絶対に混ぜないよう気をつけましょう。
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