近年、自然環境に優しいナチュラルクリーナーとして注目を集める重曹は、食品にも使われているほど安全性の高い成分です。殺菌・消臭効果があるにも関わらずアルコールなどと異なり、乳幼児やペットが舐めても安全なことから、多くの家庭で使われています。
そんな便利な重曹は、洗濯にも使うことができます。今回は重曹で洗濯するメリットやその方法、注意点について見ていきましょう。
重曹を使って洗濯することのメリットって?
重曹を使って洗濯することには、以下の6つのメリットがあります。
- 皮脂汚れに強い
- 弱アルカリ性の重曹は、衣類の汚れの主原因である皮脂汚れに効果的
- 消臭・殺菌効果
- 衣類の気になるニオイを消臭するほか、生乾き時の雑菌の繁殖を抑える
- 部屋干しが増える季節にもぴったり
- 漂白効果
- わざわざ漂白剤を使わなくても、黄ばみやシミを落とす効果が期待できる
- 頑固な汚れには、重曹とか炭酸ソーダをペースト状にしたものでこすり洗いする
- 天然由来の成分
- 環境に優しいのはもちろん、手肌にも優しく安心して使える
- ※ただし、弱アルカリ性で手指の皮脂も落としやすいため、肌が弱い人はゴム手袋やビニール手袋をつけて使うのがおすすめ
- お財布にも優しい
- 重曹は家中の掃除に使えるため、場所ごとに洗剤を買い揃えなくても済む
- 洗濯槽もキレイにできる
- 洗濯槽のカビの原因は、溶け残った洗剤や柔軟剤、衣類から落ちた皮脂汚れなど
- これらの汚れは、洗濯に使った重曹で一緒に落としやすく、洗濯槽内部のカビの繁殖も防ぐ効果が期待できる
衣類の汚れの大半は皮脂汚れや手アカなどですが、これらは弱アルカリ性である重曹が効果を発揮しやすい汚れです。また、漂白剤を使うまでもない黄ばみやシミについてもある程度は、重曹の漂白効果で落とせます。加えて、殺菌効果で衣類のイヤなニオイのもとになる生乾きの雑菌、洗濯槽のカビ汚れなども防ぐ効果が期待できます。
目的で違う重曹での洗濯方法とは?
重曹は、それ単体で使う洗濯方法と、クエン酸や過炭酸ソーダを配合して使う方法の2種類があります。それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
重曹を単体で洗濯に使う方法
重曹を単体で洗濯に使う方法としては「洗濯用の液体石けんと併用する」「シミ抜きに使う」「柔軟剤として使う」「消臭剤として使う」「おしゃれ着洗いとして使う」の5つが挙げられます。
液体石けんと重曹を併用して洗濯する
普段、洗濯に使っている液体石けんに重曹を1カップ加えるだけです。液体石けんのみで洗濯するときよりも、洗濯物が白くスッキリ仕上がります。具体的には、以下のような手順で行います。また、液体石けんは合成洗剤でないものを使いましょう。
- 重曹、液体石けん、密封できる容器を用意し、重曹を容器に入れて少しずつ液体石けんを足しながら重曹ペーストを作る
- やや粉っぽさが残るくらいで液体石けんを入れるのをやめ、通常の使用量の半分くらいを重曹にする
- 衣服などの汚れが気になるところに重曹ペーストを塗り、数十分間放置する
- 汚れの落ち具合が確認できたら、洗い流していく(とくに、少し放置したシミや襟汚れなどに効果的)
- ※落ちないときは、お酢を薄めたものを加えるとさらに汚れが落ちやすくなる
この重曹ペーストは、少し放置した鍋やフライパンの油汚れやコゲを落とすのにも使えますので、余ったらぜひキッチンで使いましょう。
重曹でシミ抜きする
ワイシャツの襟についた皮脂汚れや、食べこぼしの油汚れなどは普通に洗濯をしただけでは落としきれません。そこで、前述の洗濯用とは少し異なる重曹ペーストを作ってみましょう。具体的な手順は、以下のようになります。
- 小さな入れ物に、重曹と液体酸素系漂白剤を1:1の割合で入れてよく混ぜる
- ペースト状になったら、汚れに直接塗って揉み込む
- 10分ほど置いてから洗濯をすると、シミをスッキリ落とせる
この重曹ペーストは漂白剤を含んでいますので、生地によっては色落ちや傷みにつながる可能性もあります。必ず、洋服の目立たないところで色落ちテストを行ってから使いましょう。
重曹を柔軟剤として使う
重曹を使って洗濯すると、洋服がふんわり仕上がる柔軟剤としての効果が期待できます。さらにふんわり仕上げたいときは、すすぎの際に2/3カップの柔軟剤を入れましょう。
重曹を消臭剤として使う
洗濯しても天日干ししてもニオイがとれない洗濯物は、重曹を使ってつけ置き洗いするのが良いでしょう。40度前後のぬるま湯に重曹を小さじ1入れてよく溶かし、その中に洋服を浸して30分程度つけ置きします。その後、通常通り洗濯すれば、頑固なニオイもしっかり落とせることでしょう。
おしゃれ着洗いとして使う
重曹を使って、ウールなどのおしゃれ着を洗濯する方法もあります。具体的には、以下のような手順で行います。
- 洗濯桶や洗面器に30度程度のぬるま湯を張り、重曹大さじ1をよく溶かす
- 優しく数回押し洗いをし、20〜30分置いておく
- その後、お湯を替えて優しくすすぐ
- さらに、水300ccにクエン酸小さじ1を入れ、洋服を浸す
- 最後に、タオルドライで脱水し、日陰で平干しする
ただし、基本的には重曹はウールやシルクなどのデリケートな生地に向いているとは言えません。重曹は非常に細かい粒子でできていますので、その粒子がデリケートな素材の隙間に入り込み、生地を傷めてしまう可能性があるからです。ですから、重曹でおしゃれ着を洗う際は優しく押し洗いをし、最後にクエン酸で重曹をキレイに溶かし落とすのを忘れないようにしましょう。
また、麻やい草などの天然素材に使うと変色してしまうことがありますので、これらの素材には使用しない方が良いでしょう。
重曹と、クエン酸や過炭酸ソーダを配合して洗濯に使う方法
クエン酸には雑菌の繁殖を抑える効果があり、重曹と混ぜると化学反応で泡が発生することでより効率的に汚れを落とせます。このとき発生する泡は人体に有害なものではありませんので、泡が弾けた後の気体を多少吸い込んでも問題はありません。具体的な手順としては、以下のように行いましょう。
- 重曹を水で溶いてペースト状にし、衣服の汚れの気になるところに塗る
- 重曹ペーストを手でなじませるように揉み込む
- 重曹ペーストはそのまま、上からクエン酸水を吹きかける
- 泡が発生してきたら、15〜20分程度放置する
- 最後に、洗濯機に入れて通常通り洗う
クエン酸水は、水200mLにクエン酸小さじ1を加えて作ります。スプレーボトルに水とクエン酸を入れ、よく振って混ぜ合わせると良いでしょう。
また、クエン酸でなく過炭酸ソーダを使う場合、ぬるま湯を使えばカビや雑菌を殺す殺菌効果のほか、消臭や漂白効果も期待できます。具体的には、以下のように行いましょう。
- 過炭酸ソーダ大さじ2と重曹大さじ2にぬるま湯大さじ1〜2を加え、ペースト状にする
- ゴム手袋やビニール手袋をつけ、衣服の気になる汚れに直接塗り込む
- しばらく放置し、汚れが落ちたのを確認してから洗濯機で通常通り洗う
洗濯機で洗うとき、すすぎにクエン酸水を入れると前述のように泡が発生しますので、衣服がふっくらと仕上がります。
重曹を使って洗濯するときの注意点は?
重曹を使って洗濯するときには、3つの点に注意しましょう。
- ぬるま湯を使う
- 重曹は冷水に溶けにくいため、40度前後のぬるま湯を使う
- お風呂の残り湯などを使うのもおすすめ
- 適量を守る
- 汚れを落としたいあまり、重曹を入れすぎないよう注意する
- 多ければ多いほど落ちる、というわけではないので、必ず適量を守る
- 天然素材やデリケート生地には使わない
- 麻などの天然素材の衣類は変色させてしまうため、使わない
- 色柄ものも色落ちや色移りのリスクがあるため、目立たないところで試してから使う
- 重曹の粒子が繊維の隙間に入り込んでしまうため、デリケートな素材は避けるか、紹介したように慎重に使う
重曹の洗濯で最も重要なことは、ぬるま湯で使うということです。冷水で洗濯してしまうとうまく重曹が溶けず、溶け残った重曹が洋服に白くこびりついたり、洗濯機のホースに詰まってしまったりします。もし、洗濯機のホースが詰まってしまったときには、お湯を流して重曹を溶かし流してしまいましょう。
また、重曹を保管するときは密閉できる容器に入れ、湿気の少ない場所で保管します。そして、弱アルカリ性で皮脂汚れを落としやすい性質上、肌の弱い人や肌荒れが心配な人は必ずゴム手袋やビニール手袋をはめて重曹を使いましょう。
おわりに:重曹で洗濯すると、皮脂汚れを安全にスッキリ落とせる
重曹は水に溶けると弱アルカリ性となり、衣類の主な汚れの原因となる「皮脂汚れ」を効果的に落とせます。また、重曹には消臭・殺菌効果もありますので、気になるニオイや生乾きの雑菌を抑えることもできます。
安全で便利な重曹ですが、ぬるま湯で使うこと、天然素材やデリケート素材には向かないことに注意して使いましょう。肌が弱い人は、ゴム手袋やビニール手袋を忘れずにつけることも重要です。
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