帰宅して最初に通る玄関は、外部からの汚れを最初に持ち込んでしまう場所でもあります。靴に泥や砂がついてしまうのはどうしても仕方ないことですが、雨の日にはさらに泥や砂がたくさんついてきてしまいます。
今回は、このように汚れが溜まりやすい玄関を手早くキレイに掃除するためのコツをご紹介します。しつこいタイル汚れなども、この機会にすっきり落としてしまいましょう。
玄関の汚れの種類と掃除に必要な道具は?
玄関の汚れの原因は、序文でもご紹介したように靴についてくる泥や砂、土ボコリです。これらの汚れは床に吸着していない限り、基本的には掃き掃除だけでキレイにできるのですが、床のタイルが黒ずんでしまった場合、掃き掃除だけでは落としきれません。この汚れは酸性の汚れですから、逆の性質を持つアルカリ性の洗剤や重曹などでキレイに落とせます。
他にも、排気ガスや花粉、手垢などが玄関汚れの原因になることもあります。
- 排気ガス・花粉
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- ドアを開け閉めするときに玄関に入ってきてしまう
- 非常に細かい汚れなので目立たないものの、アレルギーの原因になることがある
- 掃き掃除だけでは取り除ききれないので、掃除機を使うのがおすすめ
- 手アカ
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- 下駄箱や玄関ドアのノブは、出入りのときによく触る場所なので手アカ汚れが目立つ
- 意識していなくても、靴を履いたり脱いだりするときに壁やドアに手をついて手アカがついてしまうことも
- 手アカは汗や皮脂による酸性の汚れなので、アルカリ性の洗剤や重曹を使って落とす
また、これも序文でも触れたように、雨の日は靴も濡れてしまうため、いつも以上に砂や泥、土がついてしまいます。濡れた砂や土は、玄関の床にくっついたまま乾いて固まると、簡単には落ちなくなってしまいます。さらに、もともと床に溜まっていたホコリなども水分で巻き込み、余計に床にくっつきやすくなってしまいます。
このように雨の日には、普段よりも玄関が汚れやすくなってしまうため、玄関に入る前に靴についた砂や土をきちんと落とすようにしましょう。もし、それでも玄関が汚れてしまった場合は、固まって落としづらくなってしまう前に、デッキブラシと少量の水・洗剤で早めに落としてしまいましょう。
玄関の掃除を本格的に始める前には、以下のような道具を準備しておきましょう。
- 掃除機、またはほうき
- バケツ、またはホース
- 水拭き用の雑巾、またはモップ
- 乾拭き用の雑巾、またはモップ
- メラミンスポンジ
タイルを拭くのは雑巾でも良いのですが、モップがあると立ったまま掃除ができますので、身体に負担がかかりにくくなります。また、メラミンスポンジはザラザラタイプのタイルには使えませんが、つるつるタイプの床なら効果的に汚れを落とせます。表面が密集した細かい無数の網目になっているため、汚れを削り落とすことができるのです。
ただし、その性質上、タイルの素材によっては傷ついてしまうこともあります。最初に玄関の端などで少し試してみてから使った方が良いでしょう。また、水拭きやメラミンスポンジで落ちない頑固な黒ずみ汚れには以下のような道具が便利です。
- 重曹、またはセスキ炭酸ソーダ
- スプレーボトル
- バケツ、またはホース
- ザラザラタイプの場合は、汚れ落とし用のデッキブラシ
- つるつるタイプの場合は、水拭き用の雑巾またはモップ
- 乾拭き用の雑巾またはモップ
玄関タイルにくっつく頑固な黒ずみ汚れは酸性なので、アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダを使うと効果的に落とせます。黒ずみ汚れを落とすだけならどちらを使っても良いのですが、重曹には研磨効果もありますので、クレンザーとして使いたいなら重曹の方が良いでしょう。一方、セスキ炭酸ソーダは重曹よりも強いアルカリ性なので、こびりついた汚れを落としやすいという特徴があります。
玄関を全体的に手早く掃除するにはどうすればいい?
玄関の全体的な掃除は、ほうきで大きい汚れを掃き、掃除機を使って細かいホコリや土を吸い取り、デッキブラシで汚れを落とし、しつこい汚れにはメラミンスポンジを使い、最後に雑巾で乾拭きをする、という手順で行います。それぞれの手順や掃除の流れについて見ていきましょう。
- 玄関に置いてあるものをどかす
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- 掃除の邪魔になったり、倒して壊したり水で濡らしたりしてしまうため、なるべくすべてどかす
- とくに、傘立ての下はホコリが溜まりやすいため、傘立てをどけてしっかり掃除する
- ほうきで汚れを掃く
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- 砂ぼこりや土ぼこり、小石などを掃き出せるだけ掃き出す
- 床についている軽い泥汚れなどは、強めに掃くだけで取れるものも
- 溝や隅も、まずこのほうきで念入りに掃き掃除を行う
- 掃除機で細かいホコリを吸い取る
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- ほうきで掃き出せなかった細かいホコリや、溝に溜まったゴミを掃除機で吸引する
- ドア枠の溝に入り込んでしまった汚れも、掃除機を使えばキレイに吸い取れる
- ベランダ掃除と同様、ノズル(ヘッド)は室内用と分けておくのが良い
- 新しく付け替えヘッドを購入するなら、先端がブラシになっているタイプだと溝などの汚れが取りやすくなる
- デッキブラシで汚れを落とす
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- 少量の水とデッキブラシで、床にくっついた泥汚れなどを落とす
- 乾いたままだと落ちにくかった汚れも、水分を含むと落ちやすくなることがある
- 汚れが落ちたら、水が透明になるまで全体を洗い流す
- しつこい汚れはメラミンスポンジで落とす
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- 水とブラシだけで落ちないしつこい汚れは、メラミンスポンジで落とす
- メラミン樹脂の細かい網目で、頑固な汚れでも洗剤を使わずに落とせる
- 水を含ませて汚れた部分を軽くこすると、キレイに落ちる
- 水分を拭き取る
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- 仕上げに、乾いた雑巾で床の水分を拭き取り、玄関ドアを開けて乾燥させる
- 玄関ドアを開け放したままが気になるようなら、扇風機で風を送って乾かすのもよい
- 完全に乾いたら、最初に移動したものを元に戻す(濡れていると汚れがつきやすくなるため、必ず完全に乾燥したことを確認する)
また、マンションによっては水をまいて玄関掃除ができないこともあります。詳しくは入居時の注意書きを確認するか、管理組合に問い合わせてみましょう。さらに、玄関の床の材質(コンクリート、大理石など)によっては水や洗剤を使うとシミや傷がついてしまうこともありますので、材質によっては使わないようにしましょう。
このように水が使えない床の場合、ほうきや掃除機で落としきれなかった汚れは固く絞った雑巾で強めに拭き取ります。また、他の材質でも水は使えても洗剤は使えないというものがあります。洗剤の説明書をよく読んで、使えるかどうか確認しましょう。どうしてもわからなければ、目立たない場所でシミや傷、変色が起こらないか確かめてみます。
玄関の床以外の場所はどう掃除する?
玄関の床以外でとくに掃除が必要な場所は、靴箱と玄関ドアです。まず、靴箱の掃除は以下のような手順で行いましょう。
- 中の靴をすべて外に出す
- 小さなちりとりとほうきを使い、砂やホコリを取り除く
- 雑巾で水拭きする
- エタノールをスプレーし、乾いた雑巾で拭き取る(除菌)
- 掃除後は、扉を開けたままにして乾燥させる
靴箱のニオイが気になる場合は、エタノールによる除菌のほか、市販の靴箱用消臭剤を置いてみたり、重曹を小皿やびんに入れて靴箱の中に置いておいたりすると良いでしょう。消臭剤や重曹がイヤなニオイを吸い取ってくれます。
玄関ドアは、以下のような手順で掃除します。
- ブラシなどを使い、ホコリを取り除く
- 重曹水(ぬるま湯100mLに小さじ1杯)で湿らせた雑巾でドア全体を拭く
- ドアノブは手アカで汚れやすいため、とくにしっかりていねいに拭く
- 水拭きで重曹水を拭き取る
- 仕上げに、乾拭きを行う
また、玄関をキレイに保つためには、日頃から「汚れたらすぐ掃除する」という習慣をつけることが大切です。例えば、玄関を通ったついでやちょっとしたスキマ時間を使い、サッと掃き掃除や拭き掃除をするなどです。そのためにも、掃除道具は取り出しやすい場所にしまっておき、玄関に入る前には靴底の汚れを落とせるようにしておきましょう。
掃除しにくい玄関タイルをキレイにするには?
玄関の床がタイルの場合、ザラザラした表面のタイルとつるつるした表面のタイルで少し掃除の方法が異なりますので、順にご紹介します。また、頑固な汚れの落とし方についても見ていきましょう。
ザラザラしたタイルをキレイにするには?
表面がザラザラしているタイルは、細かいデコボコに汚れが溜まって汚くなりやすいです。そこで、以下のような手順で掃除を行いましょう。
- 掃除機やほうきで、タイル表面のホコリやゴミを取り除く
- バケツやホースを使い、玄関タイルにまんべんなく水を撒く
- デッキブラシを使い、汚れをこすり落とす
- 再び玄関タイルにまんべんなく水を撒き、落とした汚れを洗い流す
- 雑巾やモップで玄関タイルを乾拭きし、水気を取る
- 玄関のドアや近くの窓を開け、玄関タイルを乾燥させる
手順2や4で「水を撒く」と書きましたが、マンションやアパートなどで玄関に水を流せないという場合は、濡らした雑巾で玄関タイルを湿らせたり、水拭きをして汚れを拭き取ったりしましょう。また、掃除機やほうきをかける前に水を撒いてしまうとホコリや砂が湿ってタイルにくっつき、取れにくくなってしまうばかりか、掃除機で吸い込むと故障の原因になってしまいます。必ず、最初に掃除機やほうきをかけましょう。
掃除後、タイルに湿気が残っていると外から靴の汚れがつきやすくなったり、カビが生えたりしやすくなります。掃除が終わったら、まずしっかりタイルを乾燥させましょう。
つるつるしたタイルをキレイにするには?
表面に光沢があるつるつるとした玄関タイルの場合、雑巾やモップで拭き掃除をしましょう。具体的には、以下のような手順で行います。
- 掃除機やほうきで、タイル表面のホコリやゴミを取り除く
- バケツやホースを使い、玄関タイルにまんべんなく水を撒く
- 雑巾やモップで汚れを拭き取る
- 雑巾やモップで落ちなかった汚れは、水を含ませたメラミンスポンジでこする
- 再び玄関タイルにまんべんなく水を撒き、落とした汚れを洗い流す
- 乾いた雑巾かモップで玄関タイルを乾拭きし、水気を取る
- 玄関のドアや近くの窓を開け、玄関タイルを乾燥させる
手順2・4の「水を撒く」は、ザラザラの場合と同様、マンションなどで水を流せない場合、濡らした雑巾で玄関タイルを湿らせたり、水拭きで汚れを拭き取ったりしましょう。また、水を撒く前に掃除機やほうきをかけるのも同じです。つるつるしたタイプの場合、水拭きとメラミンスポンジでほとんどの汚れは落ちますが、それでも落ちない頑固な汚れは次章の方法を使いましょう。
つるつるしたタイルは、水分が残ったまま乾いてしまうと水アカが目立ってしまいますので、水拭きのあとはザラザラのタイル以上にしっかり乾拭きをして水気を拭き取り、乾燥させましょう。
頑固な汚れを落とすには?
上記のように一通り掃除をしても落ちない汚れには、重曹水(水100mLに重曹小さじ1杯)やセスキ炭酸ソーダ水(水500mLにセスキ炭酸ソーダ小さじ1杯)を使います。これらをスプレーボトルに入れ、準備は完了です。その後、以下の手順で掃除を行いましょう。
- 玄関タイルの汚れの部分に作った水をスプレーし、5分程度放置する
- ザラザラの玄関タイルならデッキブラシで、つるつるの玄関タイルなら雑巾かモップで汚れを取る
- バケツやホースで玄関タイルにまんべんなく水を撒き、汚れを洗い流す(※集合住宅の場合は濡らした雑巾で水拭き)
- 雑巾やモップで乾拭きし、水気を取る
- 玄関のドアや近くの窓を開け、玄関タイルを乾燥させる
重曹やセスキ炭酸ソーダはアルカリ性なので、固まってこびりついていた汚れになじませると中和され、軽くこすったり拭いたりするだけで落とせるようになります。しかし、タイルに重曹やセスキ炭酸ソーダが残ってしまうと、白い筋になったりタイルが変色してしまったりすることもありますので、汚れを落とした後はこれらの成分が残らないよう、しっかり洗い流しましょう。
おわりに:玄関の汚れは砂や土のホコリ。水拭きやメラミンスポンジで落とそう
帰宅して最初に通る玄関は、靴についた砂や土、ホコリなどで汚れやすい場所です。しかし、これらの汚れの多くはほうきで掃いたり、濡れた雑巾やモップ、デッキブラシなどでこすったりして簡単に落とせます。落としにくいものはメラミンスポンジで落としましょう。
それでも落ちない頑固な汚れには、重曹やセスキ炭酸ソーダを使います。タイルに白い筋が残ったり変色したりすることがあるため、最後にしっかり成分を落としましょう。
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