カビは、お風呂場やキッチン・トイレなどの水場にはえることでよく知られています。その多くは黒カビと呼ばれる湿気を好むカビですが、この黒カビを始め、一部のカビ類が人間の体内に入るとアレルギーを引き起こすことがわかっています。
そこで、今回はアレルギーを引き起こすカビの名称や特徴、その対処法についてご紹介します。アレルギーを防ぐため、しっかりカビ対策を行いましょう。
アレルギーの原因になるカビにはどんなものがある?
アレルギーの原因となるカビにはさまざまなものがありますが、大きく分けると屋内外の環境中にいる「空中真菌」と、人間にもともと寄生している「ヒト寄生菌」の2種類があります。「空中真菌」は、カビの胞子が空気中に浮遊していますので、それを吸い込むことで気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの気道アレルギーを引き起こします。「ヒト寄生菌」は、主にアトピー性皮膚炎を悪化させる要因となると報告されています。
主な空中真菌とヒト寄生菌には、それぞれ以下のようなものがあります。
- 空中真菌
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- クラドスポリウム(黒カビ)…最も多く、あらゆる場所に発生する
- アルテルナリア(ススカビ)…湿気の多い浴室や台所、結露した壁などに発生する
- ペニシリウム(青カビ)、アスペルギルス(コウジカビ)…比較的乾燥に強く、食品や室内のチリからも発見される
- ヒト寄生菌
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- カンジダ…皮膚や口中、消化管、膣などに存在する常在菌で、免疫力の低下などで異常増殖すると人体に悪影響を及ぼす
- ピティロスポリウム(マラセチア)…皮膚の常在菌で癜風(でんぷう)の原因になる
- トリコフィトン(白癬菌の一種)…頭部白癬(水虫)の原因となる
空中真菌が増えると、アレルギー体質の人では皮膚に感染しなくても付着するだけでアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎を起こしやすくなります。さらに、ヒト寄生菌は成人のアトピー性皮膚炎を重症化するとも言われています。空中真菌の主な発生場所は、それぞれ以下のようになっています。
- クラドスポリウム(黒カビ)
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- 特に多い…浴室、台所、壁、洗面所、トイレ、居間、和室、靴箱、押入れ、空中など
- その他…タイル目地、エアコン、加湿器、畳、木材、衣類、カーペット、絨毯、洗濯機内部など
- アルテルナリア(ススカビ)
- 浴室、台所、壁、洗面所、トイレ、空中、エアコン、布団、塗装面、シャワーカーテンなど
- ペニシリウム(青カビ)
- 特に多い…居間、和室、靴箱、押入れ、畳、木材、衣類、カーペット、絨毯、ハウスダストなど
- その他…浴室、台所、壁、洗面所、空中、食品類など
- アスペルギルス(コウジカビ)
- 居間、和室、靴箱、押入れ、空中、畳、木材、衣類、カーペット、絨毯、エアコン、ハウスダスト、革製品、食品や飼料、布団、家具類など
- フザリウム(赤カビ)
- 台所の排水口、洗いかごの受け皿、洗面台、浴室の床
- ユーロチウム(カワキコウジカビ)
- 畳やカーペットなどのフケやアカ、食べこぼしが溜まる場所、チョコレートなどの甘い食品など
カビは20〜30℃くらいの温度、60〜70%以上の湿度、ホコリやチリなどの栄養源のある環境を好みます。そのため、水場などのジメジメした場所はもちろん、空気がよどんでいてホコリやチリが溜まりやすい場所にもはえやすいと考えられます。
また、東京都が平成28年に実施したアンケートによれば、過去3年間にカビが生えたことのある場所では浴室が最も多く、約80%を占めていました。押入れや洗面所や寝室も約20%を超える発生頻度で、上記のようにやはり湿気が多い場所や空気がこもりやすい場所に発生しやすいことがわかります。
アレルギーを予防するためにできるカビ対策とは?
カビは高い湿度を必要としていますので、屋内ではやはり湿度が高くなりやすい水回りや、換気不足で湿気やホコリが溜まりやすい押入れなどにはえやすい傾向にあります。そして、発生した後は条件によってじわじわと範囲を広げていきます。そのため、カビがはえないようにする予防はもちろん、カビが再発しないような日頃の対策が必要です。
具体的には、場所ごとに以下のような対策を行っていきましょう。
- 浴室や洗面所
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- 浴槽のお湯を抜いた後は、最後によく洗う
- 浴室の壁や天井、流しなどに石けんの残りや毛、アカなどが残らないようにする
- できれば高温のシャワーでよく流し、最後に水のシャワーで温度を冷やしてカビのはえやすい温度にしない
- 最後にタオルで水滴をよく拭き取り、カビの胞子が定着しないようにする
- 換気扇が設置されている場合、使った後すぐに止めず、十分に換気するまで回しておく(※風呂場は24時間回しっぱなしが推奨されることも)
- 玄関や靴箱
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- 靴を靴箱にしまう前に、日陰干しなどで十分に水分を蒸発させる
- 収納場所の換気を心がける
- 靴を長期間収納する場合は、汚れをよく落としてクリームで表面を保護するなどして、カビの増殖を防ぐ
- 居間
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- エアコンフィルターの掃除をこまめに行う
- 長期間エアコンを使用していないと、フィルターに相当なカビが発生する
- カビが発生したままエアコンを使うと、エアコンの風でカビの胞子が撒き散らされてしまう
- 年に3〜4回を目安とし、少なくとも冷暖房シーズンの変わり目には掃除をする
- カーペット
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- 居間などに敷かれたカーペットは、掃除機の吸引ノズルで毛を逆立てるようにして掃除する
- 丸洗いできるものは定期的に洗濯し、よく乾燥させる
- 畳の上にカーペットを敷かないよう、配置に注意する
- 家具類
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- 壁に密着させてしまうと、換気不足でカビがはえやすくなる
- 壁との隙間を5cm以上開け、空気の流れを良くする
- 押入れ
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- プラスチック収納ケースは密閉されやすいため、収納容器に乾燥剤を入れておく
- すのこを利用して空気の通り道を作り、換気しやすい環境を作るのもおすすめ
上記のように、カビは換気不足や湿度の高い状況で発生しやすくなります。ですから、天気が良く湿度の低い日には押入れやクローゼットを開けて換気したり、梅雨時など湿気がこもりやすい時期には除湿機やエアコンのドライ機能を活用したりして湿度を下げると良いでしょう。
また、浴室はその性質上、どうしてもカビがはえやすい場所です。アカや石鹸カスはカビの格好の栄養源となってしまいますので、使った後はよく洗い流し、入浴後は湿気がこもらないよう、換気扇を回したりドアを開けたりして換気を行いましょう。窓についた結露を拭き取ったり、サッシ下部の排水溝が詰まっていないか確認したりして、結露した水を屋外に排出する工夫も大切です。
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それでもカビがはえてしまったらどうする?
日常的に気をつけていても、カビがはえてしまうこともあります。もしカビがはえてしまったら、薬剤や消毒用アルコールなどを利用してカビを取り除きましょう。その際は窓を開けて換気に注意し、肌を露出しないようゴム手袋やマスクなどをして行ったり、カビの胞子を飛散させないよう気をつけたりしながら作業しましょう。
浴室やキッチンなど、塩素系漂白剤を使える場所は市販のカビ取り剤を使って掃除します。このときは特に換気に注意し、他の薬剤と絶対に混ぜないよう、必ず塩素系漂白剤単体で使いましょう。また、カビを取り除いた後は大量の水やお湯でよく洗い流し、成分が残らないようにしましょう。
畳や和壁にカビが発生した場合は、消毒用アルコールを吹きつけたティッシュやキッチンペーパーで拭き取り掃除をします。カビに最初から直接消毒用アルコールを吹きつけてしまうと、胞子が飛散してしまうため、まずは拭き取りから行います。その後、消毒用アルコールに浸した歯ブラシやブラシで畳の目に沿ってカビを掻き出して拭き取ります。
最後にもう一度、カビのはえていた範囲よりやや広めに消毒用アルコールを吹きつけてから、よく乾燥させましょう。もし、カビによる被害の範囲が広い場合は壁や畳そのものを修繕する必要があるかもしれませんので、施工業者に相談しましょう。
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おわりに:アレルギーを起こすカビはさまざま。こまめなお手入れや掃除で対策を
アレルギーを起こすカビの種類はさまざまなものがありますが、その多くが浴室や居間、押入れなど、湿気が多く空気がこもりやすい場所に集中しています。ですから、これらの場所には特に注意して日頃からお手入れや掃除をしましょう。赤ちゃんのお食事エプロンなど、汚れやすいものもカビや臭いの原因になります。
天気が晴れて湿度が低い日には押入れやクローゼット、靴箱を開けて換気する、浴室の換気扇は回しっぱなしにするなどの工夫も重要です。カビでアレルギーを起こす前に、しっかり対策を行いましょう。
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