お湯を沸かしたり保温したり、常に温かいお湯を用意しておける電気ポットは非常に便利です。清潔な水しか入れない電気ポットに汚れが溜まるのは想像しにくいですが、水垢などの汚れはどうしても溜まってしまいます。
そこで、今回は電気ポットに溜まる汚れの原因を確認し、その掃除方法を見ていきましょう。また、掃除するときの注意点についても最後にご紹介します。
電気ポットの汚れの原因は?
電気ポットの汚れの原因は、内側は主に水による汚れ、外側は環境による汚れと言えます。
電気ポットの内側の汚れって?
電気ポットの内側にできる汚れの代表的なものは「水垢」です。これは、ポットで使う水道水やミネラルウォーターにはカリウムやカルシウムなどのミネラルが含まれていることによります。ミネラルとは炭素・水素・窒素・酸素以外で生き物の身体を構成する元素のことを言い、マグネシウムやナトリウムなどもミネラルの一種です。
カリウムやカルシウムなどのミネラルは、水分が蒸発してしまうと乾いて石のようにポットの内側に付着します。最初は目に見えない程度の汚れですが、蓄積されていくに従ってだんだんと白い汚れとして見えるようになります。浴室の鏡などにできる白いうろこ状の汚れと同様のもので、決して不衛生な汚れではありませんが、見た目が良くないので落とした方が良いでしょう。
電気ポットには、その他に青色や茶色の汚れがついていることがあります。青色の汚れは銅についたサビである可能性が高く、落とすためには丁寧に時間をかける必要があります。しかし、この汚れは傷がついたり腐ったりしてできたサビではありませんので、健康被害などを引き起こすものではありません。
赤茶色や茶色の汚れがついていた場合は注意が必要です。これらの汚れは水道水に含まれる不純物が熱で変化したもので、多少の汚れなら健康を害する危険性は低いものの、色が濃い場合は電気ポットの中に傷がついてサビが蓄積している可能性があります。傷がついてサビてしまった電気ポットは洗浄しても傷を直せませんので、買い替えた方が良いでしょう。
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電気ポットの外側の汚れって?
電気ポットの外側には、手アカ・ホコリ・食べカスなどがついています。キッチンに近い場所にある場合、調理中に水蒸気と混じった油汚れ(油煙)がついてしまうこともあり、さらにその油汚れが接着剤のようにホコリを引き寄せてしまいます。このように、一見キレイに見える電気ポットの外側も汚れていますので、定期的な掃除が必要です。
電気ポットの掃除方法は?
電気ポットの内側の汚れは、ほとんどが白い水垢です。水垢はアルカリ性の汚れですから、酸性のクエン酸を使えばキレイに落とすことができます。クエン酸はレモンなどの柑橘類、梅干しなどの果実の酸味としても知られていますが、近年はアルカリ性の汚れを効率的に落とせるナチュラルクリーナーとして重曹などと一緒に家庭での掃除によく使われています。
具体的な掃除の手順としては、以下のように行います。
- クエン酸水を沸かす
- 電気ポットを水でいっぱいにし、クエン酸30〜50g(大さじ1〜2杯)入れる
- よくかき混ぜてクエン酸を溶かしたら、そのままスイッチを入れて沸騰させる
- つけ置きする
- 沸騰したら1〜2時間ほど放置し、水垢を中和して落としやすくする
- すすぐ
- 時間が経ったら軽くお湯を捨て、キレイな水ですすぐ
- 白い水垢が落ちていなければ、柔らかいスポンジなどで軽くこする
- 再度すすぐ
- 再び水でいっぱいにし、沸騰させてお湯を捨て、もう一度キレイな水ですすぐ
汚れがひどくスポンジでこすり洗いをする場合、内部のコーティングを剥がさないように優しく洗いましょう。また、水垢が長期間蓄積して固くこびりついていた場合、一度の掃除では落ちきらないこともありますので、何度かに分けて掃除を行うのがおすすめです。また、電気ポットによっては「クエン酸洗浄モード」などの機能もありますので、それを使うとより楽に掃除できます。
クエン酸が家にないという場合、同じ酸性のお酢で代用することもできます。クエン酸の代わりにお酢を入れるだけで、作業の手順としては同じです。また、クエン酸やお酢と一緒に重曹を同じ量加えて行うとより効果的に汚れを落とせますので、汚れが頑固な場合はぜひ試してみましょう。
電気ポットの外側も掃除しよう
電気ポットの内側を掃除したら、外側も同時に掃除してしまいましょう。電気ポットは直接飲む水を入れるものですから、洗剤などは使いたくないものです。そこで、外側の掃除には重曹水を使うのがおすすめです。重曹を水に溶かして布巾などに含ませてポットの外側を磨き、キレイな水で水拭きして重曹の成分を取り去り、最後に乾いた布巾で乾拭きして仕上げましょう。
アルカリ電解水なども安全な成分ですから、重曹水と同様にポット外側の掃除に使えます。もし、これらの安全な成分では汚れがどうしても落ちないという場合、食器用洗剤を水で薄めたもので布巾を固く絞り、ポットを拭くと良いでしょう。仕上げに水拭きと乾拭きも忘れずに行えば、皮脂汚れやホコリ汚れがキレイに落とせます。
また、電気ポットの外側にはコーティングや塗装が施されていますので、傷つけるような固いもの、研磨剤などを含むもので磨かないよう気をつけましょう。
電気ポットの掃除で気をつけることは?
電気ポットの掃除は、だいたい1〜3ヶ月に1回ぐらい行いましょう。水垢はすぐにできる汚れはありませんが、放置しすぎると頑固に固まってしまいます。季節ごとに1回と決めたり、カレンダーであらかじめ日にちを決めておいたりすると良いでしょう。定期的に掃除すると、汚れのない清潔な状態を長く保てます。
前章のように電気ポットの掃除にはクエン酸が使われますが、お酢でも代用できます。ただし、お酢には独特のニオイがあり、ポットにニオイがうつってしまう可能性もあります。使うときには十分注意しましょう。また、クエン酸と重曹を混ぜて使うと効果が高まるとはいえ、重曹を単体で使ってはいけません。ポット内部のコーティングを傷つけてしまう可能性があります。
電気ポットに入れたクエン酸を間違えて飲んでしまっても、食品にも入っている成分なので基本的に害はありません。水に溶けても無色無臭なのでうっかりお湯を出してしまうこともあるでしょうが、口をつけるとレモンのような酸っぱさですぐに気づくでしょう。とはいえ、掃除中の電気ポットを間違えて使わないよう、付箋などをつけておくと安心です。
万が一、クエン酸に気づかず大量に飲んでしまった場合や、飲んだ後に気分が悪くなってしまったという場合はすぐに医師に相談しましょう。
こんなときは専門業者に相談を!
電気ポットはこまめな掃除で性能の低下や各部品の劣化を防ぎ、長持ちさせることができますが、以下のような不調が現れた場合には家庭での対処ができませんので、専門の業者に修理や部品交換の相談をしましょう。
- 沸騰スイッチを入れてもお湯が沸かせない
- フタのパッキンが変色・変質してきた
- コンセントを差しても電源がまったく入らない
- ポットに水を入れたまま寒いところに放置し、凍らせてしまった
- 水が内部に侵入したという内容のエラーが出た
沸騰スイッチを入れてもお湯が沸かせないのは、スイッチ部分やポンプの故障が考えられます。また、パッキンは消耗部品ですから、変質や変色した場合は交換すれば使えるようになります。コンセントを差しても電源が入らない場合、電源部分やコードの故障かもしれません。
ポットに水を入れたまま凍らせてしまった場合、内部の部品が壊れてしまっている可能性がありますので、使い続けずそのままメーカーや業者に連絡しましょう。エラーが出た場合もすぐにメーカーや業者への連絡が必要です。
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おわりに:電気ポットのしつこい汚れは水垢。クエン酸でキレイにしよう
電気ポットは清潔な水しか入れないので、汚れがつかないと思っている人も多いのですが、水に含まれるミネラル分が固まった水垢はどうしても溜まってしまいます。また、内部に傷ができた場合はサビがつくこともありますので、注意しましょう。
水垢アルカリ性の汚れなので、酸性のクエン酸を使えばキレイに落とすことができます。また、内側を掃除したときには外側も一緒に重曹で掃除してしまうと、清潔な状態を保てます。
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