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カビで起こる皮膚のトラブルとは?予防方法はあるの?

カビの病気(水虫、白癬菌)になった足の画像 ハウスダスト(ダニ・カビ)

カビといえば、浴室やキッチンなどの水回りにはえて黒い色素を作り出す「黒カビ」や、食品にはえる「青カビ」が有名ですが、中には人体にとりついて感染症を引き起こすカビもいます。そこで、今回はカビで起こる皮膚トラブルについてご紹介します。

カビによって起こる皮膚トラブルの原因菌やその感染経路、予防方法や対策について知り、感染してしまわないよう気をつけましょう。

カビが原因の皮膚の病気にはどんなものがある?

カビとは菌類の一種で、真菌と呼ばれる種類の細菌です。真菌は広く自然界に分布していて、その種類も数万種とされていますが、そのうち人間にとって病原体となるものは約50種類程度しかないことがわかっています。真菌が感染して起こる病気はいわゆる「皮膚真菌症」と呼ばれるもので、病変が生じる部位が浅いか深いかによって「浅在性皮膚真菌症」と「深在性皮膚真菌症」の2種類に分けられます。

潜在性皮膚真菌症と深在性皮膚真菌症は、それぞれ以下のような特徴を持っています。

潜在性皮膚真菌症
  • 真菌の感染が角質や表皮など、皮膚の表層にとどまっているもの
  • よく知られている水虫やタムシ(白癬菌)、皮膚カンジダ症、癜風(でんぷう)、マラセチア毛包症、慢性粘膜皮膚カンジダ症、口腔カンジダ症、外因カンジダ症など
  • 皮膚真菌症の約90%を占める
深在性皮膚真菌症
  • 真菌の感染が真皮から皮下組織、さらにその下の深部にまで及んだもの
  • スポトリコーシス、クロモミコーシス、皮膚クリプトコッカス症、深在性白癬など

これらの真菌症は、真菌(カビ)が人間の組織に寄生することで起こる感染症です。こうした真菌はどこから人間に感染するのでしょうか。ここでは特に有名な真菌症として、足白癬(水虫)、爪白癬、体部白癬(タムシ)・股部白癬(インキンタムシ)、カンジダ症の感染経路をご紹介します。

足白癬(水虫)
  • 足白癬の罹患者が持っている白癬菌が、持っていない人にくっつくと感染する
  • 足と足が直接接触することのほか、スリッパなどに付着した白癬菌が付着する
  • プール・銭湯・飲食店などは感染経路になりやすい
  • 白癬菌は足から落ちても、数日〜長くて数ヶ月間生存し、感染力があるとされる
  • 白癬菌が付着したら即足白癬を発症するというわけではなく、足を拭いたり洗ったりすると容易に落とせてしまうため、付着し続けると感染・発症するとされる
爪白癬
  • 足白癬の次に頻度が高い真菌症で、足白癬を放置しているうちに周囲の皮膚から爪に感染すると考えられる
  • そのため、爪白癬を発症する人は、足白癬を合併しているか過去に足白癬の既往歴がある
体部白癬(タムシ)・股部白癬(インキンタムシ)
  • これらを罹患する人の多くは足白癬があり、それを放置している
  • 感染経路は、感染源と直接接触するか環境中にある白癬菌が付着するもの
  • 自分の水虫を手で触った後、その手で身体を触ってしまう、プールや温泉の床に座るなど
カンジダ症
  • 健常人の口腔・咽頭・糞便・膣粘膜などに存在している常在菌の一種で、普段は悪さをしない
  • 加齢や全身疾患などで免疫機能が低下したり、抗生物質を飲んで細菌フローラの力関係が崩れたりするとカンジダの異常増殖が起こり、カンジダ症となる

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カビによる皮膚のトラブルを防ぐための対策とは?

前述のように、カビによる疾患(真菌症)は感染者との接触や環境中に付着した真菌から発症することがわかります。とはいえ、基本的に健康で免疫力の高い人が重篤なカビの疾患を発症することはまずありません。というのも、カビは一般的な細菌の10〜20倍も大きく、組織や細胞にそもそも侵入しにくいうえ、侵入できても免疫機能によって体外に排出されてしまうからです。

ただし、既に別の病気にかかっているなど、免疫力が低下している状態で白癬菌が付着すると、発症のリスクが高まります。そこで、まずは以下のような対策で免疫力をアップしましょう。

脂っこい食事を減らす
脂っこい食事が多いと皮脂の分泌量が増え、カビの栄養源になってしまう
ビタミンB群・Cを多く摂る
ビタミンB群(特にB2・B6)ビタミンCは皮膚の代謝を改善し、ダメージからの回復を早める
睡眠をしっかりとる
睡眠不足は皮膚の抵抗力や免疫力を低下させる
洗顔に気をつける
皮膚にダメージを与えないよう、刺激の少ない石けんをよく泡立て、泡でそっとなでるように洗う
拭くときはタオルを軽く顔に押し当て、決してこすらない
洗髪に気をつける
熱いお湯をいきなり頭にかけず、刺激の少ないシャンプーで爪を立てず、指の腹を使ってそっと撫でるように洗う
最後に、洗い残しがないようシャンプーをよく洗い流す
紫外線を避ける
紫外線も皮膚のダメージを増やすため、紫外線の強い季節には帽子や傘で日よけし、帽子は風通しがよく、蒸れにくいものを選ぶことが重要

また、カビは高温多湿の環境を好みやすく、病気の部位と直接接触したり、環境中にいる白癬菌が付着してそのまま放置したりすることで発症しやすくなるとわかっています。ですから、以下のような対策も重要です。

  • ブーツを履くのを極力避ける
  • 通気性の良い靴下を履く
  • 不特定多数の人が集まるサウナや風呂を避ける
  • フィジカルスポーツで感染拡大が考えられる場合は、スポーツを控える

さらに、家庭内に白癬菌症の人がいるという場合など、環境に対しては室内でカビが生きられない、繁殖しにくい環境を作れるよう、以下のような対策を行いましょう。

除湿機だけで安心しない
  • カビの多くは室温25〜28℃、湿度70%以上の環境を好む(80%以上で爆発的に繁殖)
  • 壁や窓の結露をこまめに拭き取り、エアコンや除湿機内部のフィルターの掃除も
カビの栄養源を絶つ
  • 絨毯やカーペットにこまめに掃除機をかけたり、食べこぼしを固く絞った水雑巾で拭き取ったりする
  • キッチンにこぼれた食材やハネ、洗顔後の石けん分や水分をよく拭き取る
換気をする
  • 晴れた日にはキッチン・浴室・洗面所・トイレなどの水回り、クローゼットや押入れなどのこもりがちな場所を重点的に換気する
  • 換気扇や扇風機をかけ、空気を循環させるのもおすすめ
お風呂掃除はゴシゴシこすらない
  • ゴシゴシこすると細かいキズができ、そのキズにカビが侵入する
  • カビがはえたらカビ取り剤などで落とし、入浴後は浴槽や壁、タイルの水分を拭き取っておく
大きな家具の裏側に注意する
  • 動かしにくい大きな家具の裏側は、外気との温度差で結露しやすい
  • できるだけ室内の間仕切り側に置き、空気が入れ替わりやすいようにする
布団にカビがはえたら殺菌を
  • 天日干しにして表面をブラッシングするなど、カビもダニも死滅させる対策を
  • 雨で干せない場合など、布団乾燥機の熱でもOK(カビは60℃を超えると死滅する)
  • 玄関などのマット類も天日干しが重要
掃除機をかける際は換気を
  • 掃除機をかけるとカビの胞子が吸引され、カビの繁殖は防げるが、排気口から飛散してしまう
  • 掃除機をかけるときは窓を開け、同時に排気口をできるだけ室外に向ける
洗濯槽の掃除を忘れずに
  • 洗濯物に黒いワカメのような汚れがついたり、不快なニオイがしたりするのは黒カビ
  • 市販の洗濯槽クリーナー・重曹・お酢・漂白剤などを使い、洗濯槽のカビ掃除を
  • 糸くずフィルター、洗剤や柔軟剤の投入口などにもカビがはえるため、お湯で殺菌する
  • 使っていないときはフタを開け、乾燥させておくのも大切
カビ取り剤を使うときは換気する
  • 市販のカビ取り剤は「塩素系漂白剤」で、酸性の物質と混ざると有毒な塩素ガスが発生
  • クエン酸やお酢などと混ざらないよう注意し、使うときは必ず換気しながら行う
  • 子どもやペットがいる場合は別の場所に避難させ、最後はよく水で流す
  • 漂白剤が完全に流れた後、消毒用アルコールで拭き取ってカビ予防しておくと完璧

これらはいずれも白癬菌だけでなく、さまざまなカビの対策として有効です。ぜひ、日頃からこうしたカビ対策を心がけ、カビによる皮膚トラブルが起こらないよう気をつけましょう。

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おわりに:カビで起こる皮膚トラブルは免疫力や清潔で予防対策しよう

カビで起こる皮膚トラブルの代表的なものには、白癬菌による足白癬(水虫)や爪白癬、カンジダ菌によるカンジダ症などがあります。白癬菌の場合は人から人へうつることが多く、カンジダ菌の場合は免疫力の低下で異常増殖することが発症の原因です。

そこで、免疫力をアップさせるための食生活見直し、睡眠のほか、皮膚へのダメージを減らすよう洗顔や洗髪・紫外線に気をつけましょう。部屋の環境を清潔にしておくことも重要です。

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