生ゴミは、放置しているとすぐにイヤなニオイを発するようになってしまいます。もちろんできるだけ早く捨ててしまうのが良いのですが、ゴミの日まで数日間、室内に置いておかなくてはならない場合もあります。
今回は、そんなときにイヤな生ゴミの臭いにどうやって対策すればいいのかご紹介します。そもそも生ゴミからイヤな臭いがする原因を知り、具体的な対策を立てていきましょう。
生ゴミからイヤな臭いがする原因って?
生ゴミからイヤな臭いがするのは、「嫌気性微生物」と呼ばれる細菌の一種が活動することによるとされています。嫌気性微生物とは、増殖するのに酸素(=空気)を必要としない細菌のことで、この微生物はゴミを分解してさまざまな有害物質を発生させます。この分解のときに、悪臭が発生してしまうというわけです。
生ゴミは、この嫌気性微生物が繁殖しやすい環境が揃ってしまっているのです。具体的には、以下の4つの環境です。
- 栄養が多い
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- 生ゴミのほとんどが、嫌気性微生物の栄養分となる水分と有機物でできている
- 食品の残りや野菜の皮などは嫌気性微生物にとって栄養豊富なため、菌が活動しやすい
- 酸素が薄い
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- ビニール袋やゴミ箱など、生ゴミが密閉された状態になると酸素が薄くなる
- 嫌気性微生物は酸素が薄い状態の方が活性化しやすいため、菌が活動しやすい
- 水分が多い
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- 生ゴミはもともとの水分量が高く、三角コーナーや排水口のゴミ受けに溜まるとさらに水分を含む
- 嫌気性微生物の繁殖に水分は必要不可欠なため、水分が増えればより活発に生ゴミを分解して増殖するため、腐敗が進行する
- 温度が高い
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- 夏の生ゴミが臭い原因で、嫌気性微生物は基本的に温度が高い方が繁殖しやすい
- 温度が高くなるとより活発に活動し、繁殖してしまう
生ゴミの臭いを消すための対処法とは?
上記のように、生ゴミのイヤな臭いは嫌気性微生物が活発に活動することで生じるとわかりました。ですから、基本的には嫌気性微生物が活動しにくい状況を作れば良いのです。道具を新たに買わなくてもできる方法と、道具を使う方法に分けて見ていきましょう。
家にあるものでできる、生ゴミの臭い対策とは?
まずは、家にあるものでできる簡単な対策から見ていきましょう。
- 三角コーナーをやめる
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- シンクの三角コーナーは、どうしても水分が多くなるため、生ゴミが水分を含んでしまう
- 洗い物のときに水がかかることもあり、嫌気性微生物が活動しやすくなる
- 生ゴミ専用のゴミ箱を用意するなど、三角コーナーを使わない工夫をすると良い
- 新聞紙を使う
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- 生ゴミの水分を吸い取ってくれるため、嫌気性微生物が活動しにくくなる
- 生ゴミが出たら、新聞紙にくるんでからビニール袋に入れるだけ
- 忙しくてくるむのが面倒という場合は、ビニール袋の下に新聞紙を敷いておくだけでもOK
- 牛乳パックを使う
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- 牛乳パックの上部を開けて生ゴミを入れ、そのまま折り曲げてフタをする
- 臭いが漏れにくく、破れにくいため、手軽で便利な方法
- コーヒー豆で消臭
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- 淹れ終わったコーヒー豆のカスをゴミ箱の中に撒くと、消臭効果がある
- 日本茶の出がらしや、紅茶のティーバッグなどでも同様の効果が得られる
- お酢で殺菌・消臭
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- お酢にも消臭効果があり、さらに殺菌効果もある
- ただし、原液ではお酢自体の臭いがきついので、お酢50mLに対し水200mLで薄めてスプレーする
- クエン酸で代用も可(クエン酸小さじ1〜2杯に対し、水250mL)
- ゴミ袋の中にキッチンペーパーを敷き、上記の薄めたお酢やクエン酸を染み込ませておくのも効果的
いずれも一手間で生ゴミの臭いを軽減できますので、ぜひやってみましょう。特に、コーヒーをよく飲むという人はコーヒー豆を一緒に捨てるだけで臭い軽減になりますのでおすすめです。
また、冷蔵庫や冷凍庫に入れて温度を下げ、嫌気性微生物の活動を抑えるという方法もあります。生ゴミを冷蔵庫に戻すのは汚いと感じる人もいるかもしれませんが、キッチンに出てすぐの生ゴミはもともと冷蔵庫に入っていたものです。袋を2重にして水分が漏れないようきっちり密閉すれば、臭いが漏れることもありません。ジップロックなど、密閉できる袋を使うのも一つの方法です。
最終手段として、部屋の外に出してしまうという方法もあります。しかし、これは特に夏場にはあまりおすすめできません。というのも、外に出せばより温度が高い場所に放置してしまうことから、嫌気性微生物の活動が活発になり、玄関先で悪臭を放ってしまうことになるのです。近所迷惑にならないためにも、もし外に出す場合は袋を密閉し、2重にするなどの対策が必要です。
さらに、カラスやネズミが食い散らかしてしまう可能性も考慮しなくてはなりません。荒らされないようにネットを張るなどしておきましょう。このような手間を考えると、部屋の外に出しておくのは冬場など、部屋の外が室内よりも温度が低いときの手段とした方が良さそうです。
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道具を使った生ゴミの臭い対策とは?
他にも、以下のような道具を使って生ゴミの臭い対策をすることもできます。
- 重曹
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- 生ゴミの臭いのもとは酸性の物質なので、アルカリ性の重曹はそれを中和してくれる
- 嫌気性微生物繁殖の原因となる水分を吸収してくれる役割もある
- 生ゴミの上からふりかけたり、ゴミ袋をセットするときにあらかじめ底に重曹を敷いておいたりすると良い
- 重曹を節約したい場合は、重曹小さじ1杯に対し水100mLを溶かした重曹水をゴミの上からスプレーするのがおすすめ
- アルコールスプレー
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- アルコールの消毒成分が、嫌気性微生物の繁殖やイヤな臭いを抑える
- 生ゴミの上から一吹きするだけで良いので、手間もかからない
- 薬局やスーパーなどでも購入でき、値段も安い
- 防臭シート
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- シートをゴミ箱のフタに貼りつけるだけで、簡単で手軽
- 無臭のものが多いため、消臭剤の臭いが苦手な人でも使いやすい
- 1〜2ヶ月は効果が持続し、値段も安いためコスパも良い
- おがくず
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- 木材を切り出したときに出るカスのことで、消臭効果が期待できる
- ゴミ箱を交換したとき、底におがくずを一握りくらい敷いておくと良い
- 生ゴミの水分も吸収してくれるので、嫌気性微生物の繁殖も抑えられる
- 生ゴミ処理機
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- 生ゴミから完全に水分を分離させられるため、臭いを抑えられる
- 手間がかからず、臭いの原因を根本から解決できる
- 初期費用が高い(約2〜5万円程度)のがデメリットなので、予算とよく検討する
- 防臭ゴミ袋
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- コストも手間も抑えられ、強い臭いでも防げる
- 普通のゴミ袋よりはやや割高なものの、手間がかからず臭いを抑えられる
道具を使う方法は、水分を吸い取って嫌気性微生物の活動や繁殖を抑えたり、消毒用アルコールで殺菌したり、消臭効果のあるもので臭いを抑えたりといったものです。手間とコストの両面を見ると防臭ゴミ袋を買うのが手っ取り早いですが、掃除用の重曹やアルコールを既に持っている場合は、それを使いまわしても良いでしょう。
生ゴミの量を減らすためにできることはある?
そもそも、生ゴミの臭いを減らすためには、生ゴミをできるだけ出さない工夫や、生ゴミの量そのものを減らす工夫も大切です。生ゴミを出さないためには「食品のロスをなくす」「調理方法を工夫する」といったことが、生ゴミの量を減らすためには「水分を切る」「乾燥させる」といったことが重要です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
食品ロスをなくすにはどうしたらいい?
食品ロスとは、まだ食べられるのに捨ててしまっている食べ物のことです。日本では年間に632万トンもの食品ロスが発生(平成25年)しているとされていて、日本人1人あたりに換算すると毎日おにぎり約1〜2個分くらいの食べ物を捨てている計算になります。ですから、「必要な食材を必要な分だけ買う」「買った食材は残さず使う」ことが大切です。
そのためには、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 買い物に行く前に、冷蔵庫の中身をチェックする
- メニューを考えてから、買い物リストを作成する
- 買ってきた食材は、適切な方法で保存する
- 賞味期限と消費期限の違いを理解し、食材を無駄なく使い切る
賞味期限とは、「食品を美味しく食べることができる期限」のことですから、この期限を少し超えていても食べられます。一方、消費期限とは「食品を食べることができる期限」のことで、この期限を過ぎたものは食べない方が良いでしょう。
さらに、料理を作るときは人数や適量を考えて作り、食べ残しがないよう工夫したり、作りおきができる料理なら翌日にも食べたりするなど、捨てずに食べ切れるようにしましょう。また、食材が余ったら下ごしらえをして冷凍保存しておくのも一つの方法です。
調理方法の工夫って?
調理くずを水に濡らさないことが、最も手軽にできる生ゴミ対策です。三角コーナーを蛇口から離れた場所に置いたり、野菜を洗う前に皮を剥いて濡れないように捨てたりしましょう。剥いた皮はチラシで作った紙の箱や、果物が入っていたプラスチックパックなどに入れ、シンクに落とさないまま捨てると濡れずに済みます。
また、食材を余さず使い切ることも大切です。例えば、ニンジンやリンゴなどは皮にも豊富な栄養が含まれていますので、皮ごと使ったり、皮を使った料理を作ったりするのがおすすめです。皮ごと食べられる野菜や果物の一例として、以下のようなものがあります。
- ニンジン
- βカロテン(体内でビタミンAに変換される)、ビタミンC(抗酸化作用)
- リンゴ
- りんごポリフェノール(抗酸化作用)
- ゴボウ
- サポニン(悪玉コレステロール除去)
- ナス
- ナスニン(抗酸化作用)
ただし、皮を食べない方が良い野菜もありますので、皮を食べられるかどうかを一度確認してから使いましょう。また、魚のアラも捨てずに使うと味噌汁などを作れますので、もう一品作る工夫をしてみましょう。
水分を切るためにはどうするの?
生ゴミは、調理中に濡れてしまったり、そもそも水分を多く含むというものがあったりします。ですから、水分を切るだけでも生ゴミの減量につながるのです。また、水分は嫌気性微生物が活発に活動するための条件の1つでもありますから、水分を減らすことは悪臭を防ぐことにもつながるのです。
例えば、以下のような工夫をしてみましょう。
- 野菜くずやお茶がらは三角コーナーに捨てず、乾かしてから捨てる
- 捨てる前に生ゴミを手で絞り、水を切る
- 臭いの少ない野菜くずなら、三角コーナーに一晩放置して水を切るのも良い
- 小さいビニール袋に生ゴミを入れ、ビニール袋の口を下に向けて水を絞る(または、ビニール袋の角を切って上から押しつけ、水を切る)
手で絞るときは、専用のゴム手袋を用意したり、使い捨てのビニール手袋を使ったりすると手を汚さずに済みます。また、三角コーナーに一晩放置するのはそもそも臭いの少ない野菜くずのみで、果物の皮や魚・肉など、もともと臭いの強いものはやめましょう。ビニール袋を使う場合は、最後に少し生ゴミをほぐしておくとゴミの処理がしやすくなります。
また、市販の水切り器を使う方法もあります。使い捨てのものから洗って使い回せるものまで、以下のようにさまざまなものがあります。
- 紙製水切り袋
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- 穴のあいた紙袋に生ゴミを入れ、水を絞る
- 袋ごと可燃ごみに捨てられるので、手間がかからない
- 水切り器「クード」
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- 生ゴミをプラスチックの板で挟み、水を切る
- 手が汚れにくく、何度も使える。少量で柔らかいゴミに向いている
- 一度に処理できる生ゴミは、握りこぶし1つ分程度
- 水切り器「生ゴミダイエット」
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- 生ゴミを漏斗形の器具で押しつけ、水を絞る
- 手が汚れにくく、何度も使える
- しっかり水を切るためには、押しつける場所をずらしながら数回押しつける
生ゴミの80%は水分だとされていますので、しっかり水を切るだけでかなりの減量が見込めます。特に、水分が多くて柔らかい生ゴミにはこの方法が有効ですから、ぜひ実践してみましょう。
生ゴミを乾燥させる方法って?
水切りで取り除ける水分には限界がありますので、最後は乾燥させると水分量を大幅に減らせます。例えば、野菜くずや果物の皮、切れ端など食べない部分をタッパーに入れ、フタやラップをせずに冷蔵庫内に保管しておくと乾燥します。低音で乾燥させますので、嫌気性微生物も発生しにくいのがメリットです。
天日干しや風乾もおすすめの方法です。生ゴミを新聞紙の上に置いて乾かすだけで、ネットに入れた状態なら虫も寄りつきにくいです。臭いの少ない野菜くずや茶殻におすすめです。乾燥した茶殻は消臭効果がありますので、天日干ししたら他の生ゴミの臭い取りにも使えます。
おわりに:生ゴミの臭いは嫌気性微生物のせい。乾燥や殺菌・消臭で対策しよう
生ゴミのイヤな臭いは、「嫌気性微生物」という酸素を必要としない細菌の一種が生ゴミを分解することで発生します。ですから、嫌気性微生物が働きにくいよう、温度を下げたり乾燥させたりするほか、アルコールやお酢で殺菌するのが効果的です。
また、そもそも生ゴミを出さない工夫、減らす工夫も重要です。食材や調理方法を工夫したり、水切りをしっかり行ったり、乾燥させたりして生ゴミの量を減らしていきましょう。
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