洋服についてしまうシミはたくさんありますが、中でも血液のシミは非常に落としにくいやっかいなシミとしてよく知られています。しかし、落ちにくいのは事実ですが、血液のシミは絶対に落とせないというわけではありません。
そこで、今回は血液のシミが落ちにくいのはなぜか、血液のシミの効果的な落とし方についてご紹介します。血液のシミがついてしまったときには、ぜひ活用してください。
血液のシミが落としにくいのはなぜ?
血液の主成分である赤血球の中には、赤い色素とタンパク質が結びついた「ヘモグロビン」という物質が含まれています。血液が赤いのはこれが理由ですが、同時に血液のシミとなって赤や黄ばみとして残るのもこの成分です。より厳密に言えば、時間が経つにつれてヘモグロビンに含まれるタンパク質が固まり、繊維にくっついてしまうのです。
また、タンパク質は高温でも固まる性質があります。目玉焼きの白身が固まるのを想像してもらうとわかりやすいですが、タンパク質は約60℃の高温で固まる性質があります。そのため、血液がついたときに慌ててお湯で洗ってしまうと、逆効果になってしまうのです。血液がついて急いで落としたいというときは、30℃以下のぬるま湯や冷水で洗うようにしましょう。
血液そのものは水溶性ですから、付着してすぐにぬるま湯や冷水で洗い流せばキレイに落とせます。しかし、時間が経てば経つほど血液のタンパク質が化学反応で固くなり、どんどん落ちにくくなってしまいます。ですから、血液のシミがついたときには、ティッシュと汚れてもいい布を用意し、できるだけ早く以下のような応急処置を行いましょう。
- ついた血液を拭き取る
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- まずは、ティッシュでついてしまった血液を拭き取る
- このとき、血液のシミが広がらないよう、こすらずトントンと叩いて拭き取るのがポイント
- 濡らした布でトントン叩く
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- 布を濡らし、シミをトントン叩く
- 石けんが近くにあれば、タオルに含ませてトントン叩く
- 石けんを染み込ませた場合は、最後にやさしくすすぐ
布でシミを叩くときは、シミの端っこ部分から中心に向かって叩いていきます。中心から先に叩いてしまうと、水分が広がって輪染みになってしまう可能性がありますので、必ず端っこからスタートするようにしましょう。
血液のシミの洗濯方法は?
血液のシミは、応急処置などを行って比較的落としやすいものと、時間がかなり経ってしまって落としにくいものでシミ抜きの方法が異なります。それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
血液のシミ抜き、まずは基本のやり方をマスターしよう
基本のシミ抜きには、以下のような道具を用意します。
- 食器用中性洗剤
- タオルまたはキッチンペーパー
- コップ
- 歯ブラシ
- 洗い桶(洗面器、洗面所のシンクでもOK)
上記のものが準備できたら、具体的には以下のような手順で洗っていきます。
- シミのついた部分を裏返し、シミにタオルを当てる
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- 作業しやすいよう、一旦裏返す
- 洗剤やシミが他の部分に広がらないよう、下にタオルを当てる
- 洗浄液を作る
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- コップに半分まで水を入れ、食器用中性洗剤を1プッシュ混ぜる
- 歯ブラシでシミを叩く
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- 洗浄液を歯ブラシにつけ、トントンとシミを叩く
- ふやけたシミ汚れをタオルにうつすようなイメージ
- 応急処置と同様、シミの外側から内側へと進めていく
- シミあとの濃い外側を重点的に叩くと、よりキレイに落とせる
- すすぐ
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- 汚れがだいたい落ちたと感じたら、洗い桶にキレイな水を溜めてすすぐ
- 汚れがどれくらい落ちたか確認し、ほとんど落ちていればOK
- 洗濯する
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- 仕上げとして、通常の手順で洗濯機にかける
叩いてシミを落とす段階では完全に落ちきらないこともありますが、最後に仕上げの洗濯機にかければたいていはキレイに落ちますので、薄くなったと感じれば洗濯機にかけてしまって構いません。ふやけたシミ汚れがキレイに落ちてスッキリします。
時間が経ったガンコなシミにはどうすればいい?
前述の基本のやり方で落ちなかった場合や、時間が経ってこびりついてしまったシミの場合は、もっと強力なシミ抜きを行いましょう。まずは、以下の道具を準備します。
- 酸素系漂白剤
- 粉末の洗濯洗剤
- 洗い桶(洗面器でもOK)
- (重曹)
酸素系の漂白剤と粉末の洗濯洗剤を使い、シミ抜きをしていきます。粉末の洗濯洗剤にはタンパク質の汚れを分解して落とす「酵素」が含まれていますので、血液汚れを含むタンパク質の汚れに効果的です。重曹は必須ではありませんが、落ちにくかったときに使いますので、用意しておくと良いでしょう。では、具体的な手順を見ていきます。
- シミを裏返し、タオルを当てる
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- シミのついた部分を裏返し、下にタオルを差し込む
- 洗浄液を作る
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- 酸素系漂白剤と粉末洗剤を1:1の割合で混ぜ、洗浄液(青っぽいペーストになる)を作る
- シミを覆える程度の量であればよいので、少量を綿棒などで混ぜて作るとよい
- シミに洗浄液をかけ、放置する
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- できたペーストをシミを覆うくらいにつけ、10分程度放置する
- シミにつけるとすぐに分解が始まるので、真っ白に戻っていくのが視認できる
- 洗濯する
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- 最後の仕上げと洗剤のすすぎを兼ね、一度洗濯機で洗う
- 洗濯しても汚れが落ちなければ次へ、落ちればここで終了してOK
- 洗い桶に液を入れ、つけ置きする
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- 洗い桶に水を張り、水の量に合わせた酸素系漂白剤を入れる
- さらに、漂白剤と同じくらいの量の重曹を入れ、よく混ぜる
- できた洗浄液にシミ部分を浸し、1時間ほどつけ置きする
- 洗濯する
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- 1時間経過したら、そのまま通常通り洗濯する
ほとんどの血液のシミは、ペーストをつけた時点で分解されます。しかし、どうしても落ちないガンコなシミにはつけ置きを行いましょう。このときも、シミが見えなくなったら1時間経過していなくても引き上げて構いません。
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セスキ炭酸ソーダでもシミ抜きできる?
近年、重曹などと同じように人体に害が少ない洗浄剤として知られるセスキ炭酸ソーダでも血液のシミが落とせます。アルカリ性で重曹よりも水に溶けやすく、アルカリの性質も強いので、酸性の汚れである血液汚れも落としやすいのです。また、この性質から血液だけでなく、同じく酸性の汚れである皮脂汚れなどにも効果的です。
ただし、ウール・シルクなどのデリケートな素材や、水洗いできない素材はセスキ炭酸ソーダにつけてしまうと繊維が傷んでしまいますので、つけてはいけません。これらの素材は必ずクリーニング店でシミ抜きしてもらいましょう。用意するものは、セスキ炭酸ソーダ・洗い桶(洗面器やバケツでもOK)・ゴム手袋の3つです。
- 水にセスキ炭酸ソーダを溶かす
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- 洗い桶に水を1L入れ、セスキ炭酸ソーダを大さじ1杯入れて溶かす
- シミのついた衣類をつけ置きする
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- シミのついた衣類を、3時間〜1日程度つけ置きする
- ※様子を見ながら、シミが落ちた時点で引き上げてOK
- すすいで洗濯する
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- 血液のシミが落ちたら、キレイな水ですすぐ
- 最後に、仕上げとして通常通り洗濯機で洗濯する
セスキ炭酸ソーダは強いアルカリ性なので、直接手で触ると肌荒れの危険性があります。必ずゴム手袋をつけて扱いましょう。
おわりに:血液のシミは家庭での洗濯やシミ抜きでも落とせる!
血液のシミは落としづらいことでよく知られていますが、落とせないわけではありません。特に、血液は基本的に水に溶けやすい汚れなので、ついてしまったときの応急処置が重要です。その後、洗浄液で叩いて落としましょう。
こびりついてしまったガンコなシミは、酸素系漂白剤と粉末洗剤のペーストをつけて分解したり、セスキ炭酸ソーダにつけ置きしたりするとよく落ちます。ぜひ、これらの方法でキレイにシミを落としましょう。
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