日常的な掃除にも、年末の大掃除にも、洗剤は欠かせません。こすっても落ちない頑固な汚れも、洗剤の力でサッと落とせることもよくあるものです。そんな便利な洗剤ですが、使い方を間違えてしまうと効かないこともまたよくあります。
そこで、洗剤の種類別の特徴、使い分けの方法や洗剤を使うときの注意点など、洗剤を使うときに知っておきたいことをまとめました。
洗剤の種類別の特徴って?
洗剤は、どの特徴に注目するかでさまざまな分類ができます。まず、もっとも基本的な分け方として、汚れの落とし方で分ける方法があります。この方法で洗剤を分けると、大まかに「合成洗剤」「洗浄剤」「漂白剤」「研磨剤」の4つに分けられます。
- 合成洗剤
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- 主成分は界面活性剤で、汚れの種類に合わせて酸性・弱酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性の5種類の液性がある
- 適した汚れには、液性が強くなるほど落ちやすくなるが、その分手肌や材質へのダメージも増える
- ラベルに書かれている液性、用途、使えない材質などをしっかり確認してから使う
- ※界面活性剤…合成洗剤や石鹸など、一般的な洗剤の主成分で、油と水を結びつけやすくして汚れを剥がし落とす。汚れが再びつきにくくする作用も
- 洗浄剤
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- 主に酸やアルカリの化学作用によって汚れを落とすタイプ
- キッチンや浴室、トイレなどのしつこい汚れに効果的
- カビ取り剤、発泡タイプのパイプ用洗剤などもこの洗浄剤に含まれる
- 一般的に合成洗剤よりも強力なため、塗装面を剥がしたり変色させたりする場合も
- 漂白剤
- 研磨剤
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- こびりついた汚れをこすり落とすタイプで、粉末タイプとクリームタイプがある
- クリームタイプの方が細かい粒子で傷つきにくいので、まずクリームタイプから
- クレンザーは、界面活性剤に研磨剤を加えたもの
以上のような洗剤は、いわゆる一般的に「洗剤」と呼ばれるものです。一方で、近年注目されているのが「ナチュラル素材の洗剤」で、具体的には食品にも使われる「重曹」「クエン酸」「セスキ炭酸ソーダ」などが挙げられます。一般的な洗剤のように化学的に合成された成分ではありませんので、皮膚についても肌荒れしにくく、排水口に流しても環境に優しいという大きなメリットがあります。
場所や汚れ別で洗剤を使い分けるには、どうすればいい?
上記でご紹介したように、洗剤にはさまざまな種類があることがわかりました。では、これらの洗剤を効果的に使い分けるには、どのようにすれば良いのでしょうか。基本的には、酸性・中性・アルカリ性といった「液性」に着目し、酸性の汚れにアルカリ性の洗剤を、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を使って汚れを中和させて落とします。
- シンクやシャワー水栓につく水アカには「クエン酸」
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- シンクや浴室には、水道水に含まれるミネラル成分が固まった「アルカリ性」の水アカ汚れが多い
- 「酸性」のクエン酸や、お酢などを使って落とす
- 霧吹きでスプレーするなど、市販の合成洗剤と同じように使える
- 電子レンジの汚れや油汚れには「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」
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- レンジの汚れや油汚れは「酸性」の汚れなので、「アルカリ性」の重曹やセスキ炭酸ソーダを使う
- クエン酸同様、重曹は料理にも使われるためキッチンに使っても安心・安全
- 重曹は少量の水と混ぜてペースト状にすると、クレンザーのように研磨剤としてこげつきや茶渋の汚れにも使える
- セスキ炭酸ソーダは重曹よりもアルカリ性が強く、その分洗浄力も強い
- 飛び散った油汚れなどには、セスキ炭酸ソーダが効果的
また、洗剤を使う素材(場所)によって使い分ける方法もあります。上記のような洗剤では素材を傷めてしまうような場合や、直接手で触る必要がある食器などを洗うときに使います。
- 床や家具などには、弱アルカリ性のクレンザー
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- 弱アルカリ性は、中性とアルカリ性の中間の成分で、油汚れに強いが肌や素材を傷めにくい
- 皮脂汚れがつきやすいフローリングの床などを掃除するのに最適
- タンスや棚、テーブルなども手アカで汚れやすいが、弱アルカリ性の洗剤でピカピカに
- 家具に傷がつくとそこから汚れが入り込むこともあるが、研磨剤を含むクレンザーで磨くと目立たなくなる
- 食器やひどくなる前の手アカ・皮脂汚れには台所用中性洗剤を
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- 酸性やアルカリ性の洗剤のように強い洗浄力を持たないものの、手や肌を傷めにくく、軽い汚れなら簡単に落とせる
- 界面活性剤が含まれているので、食器以外にも、家具や床についたばかりの手アカや皮脂汚れを簡単に落とせる
- 洗剤の中には酸性とアルカリ性を混ぜると有毒ガスが発生して危険なものもあるが、中性洗剤は混ざってもガスが発生しない
洗剤を使った掃除で必ず守るべき注意点は?
洗剤を使って掃除を行う場合、以下の4つのポイントに注意しましょう。
- 酸性と塩素系(アルカリ性)を混ぜない
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- 酸性洗剤と塩素系漂白剤のように、混ぜると有毒ガスが発生してしまうものも
- 「混ぜるな危険」などの表示があるものはもちろん、注意書きをしっかり読んで酸性と塩素系の洗剤を混ぜないよう気をつける
- 十分に換気する
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- 酸性と塩素系だけでなく、他にも有毒ガスが発生する場合がある
- 酸素系の漂白剤は同じ酸性のお酢・クエン酸・アルコールなどと混ざってもガスが発生することがある
- キッチンの三角コーナーにあるレモンと酸素系漂白剤でも同様の反応が起こる
- 洗剤を使うときは、必ず換気しながら行うよう注意する
- 手袋をはめて行う
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- 洗剤の洗浄力で手指や肌をいためないよう、ビニールやゴムの手袋がよい
- 肌に優しいと書かれている洗剤でも、肌タイプや体調によっては手荒れを起こすことも
- 使いやすいよう保管する
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- 洗剤は成分や特徴で使い分けられるよう、わかりやすく保管する
- 開封してから時間が経った洗剤は、洗浄力が落ちたり変性したりして十分な効果が得られないことも
酸性洗剤と塩素系洗剤を混ぜると有毒ガスが発生して危険であることは、比較的よく知られているのですが、酸素系漂白剤と同じ酸性のクエン酸やお酢、レモンなどでもガスが発生してしまうことがあるということは意外に知られていません。「混ぜるな危険」の表示がある洗剤を使うときだけでなく、基本的に洗剤を使って掃除をするときには必ず換気しながら行うようにするのが良いでしょう。
また、洗剤は手肌に優しいものであっても、皮脂汚れなどの汚れを落とすために作られたものであることには変わりません。そのため、体調やお肌のタイプによっては手荒れを引き起こすこともありますので、食器などを洗う場合であってもなるべくビニールなどの手袋をはめて洗いましょう。
おわりに:洗剤は酸性・中性・アルカリ性の「液性」や、使う素材で選ぶ
洗剤にはさまざまな種類がありますが、一般的に使われる合成洗剤や、近年注目されているナチュラル素材の洗剤は、酸性・中性・アルカリ性といった汚れの性質に着目し、中和させて落とすのが基本です。
一方で、食器に使う中性洗剤や、家具に使う弱アルカリ性洗剤などは、手肌や素材を傷めにくい洗剤です。このように、落としたい汚れや洗い方、汚れのついた素材などによって、上手に潜在を使い分けましょう。
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